北朝鮮による拉致説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 15:14 UTC 版)
「伊勢市女性記者行方不明事件」の記事における「北朝鮮による拉致説」の解説
2008年9月、産経新聞は「北朝鮮事情に詳しい中朝関係筋から」の情報として、「〔日本側は〕辻出さんの『つ』の字も出さなかったのに、先方から辻出さんの名前をフルネームで言った」と報じた。拉致問題を調査している日本の大学教員が、辻出を知っている脱北者と韓国で出会った、とも報じられた。 特定失踪者問題調査会はこの報道当日、辻出の両親とともに記者会見を行い、辻出が同調査会の「不明者リスト」に追加されていると述べた。また同調査会の一関係者は、失踪前の辻出がメーリングリストに「北朝鮮に行ってよど号グループにインタビューしたい」と書き込んでいたことを根拠に、「辻出が自ら海路で北朝鮮に入り、よど号グループへのインタビューに成功した後で消息を絶った」と断言している。さらに2014年3月には三重県警が辻出家に申し入れたことにより、辻出の名が警察庁による「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者」リストに加えられている。 しかし、辻出が自ら北へ入った根拠とされるメーリングリストには具体的な内容は一切なく、辻出を知る脱北者と会ったと主張していた大学教員も、数年後には「人違いだった」と発言を撤回している。また、2014年9月によど号グループのリーダー小西隆裕に直接インタビューしたジャーナリストの伊藤孝司によれば、辻出に会ったこともなければ名前も知らない、と小西は驚いたように回答したという。 同年7月に日本経済新聞が「北朝鮮で存命の日本人リスト」についてスクープした際には、辻出家にも取材陣が詰めかけたが、辻出の母は「拉致の可能性はないんでね、記者の皆さんにはお帰りいただいたんです」と取材を拒否するなど、家族ももはや北朝鮮による拉致説には信を置かなくなっている。
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