こうかかく 【功過格】
功過格
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同じく宋代以降に流行した「功過格」は、行為の善悪を点数によって示し、その数値によって自分の行いを反省し、道徳実践に向かうように勧めた書の総称である。現在伝わる最古の功過格は1171年に浄明道の道士によって伝えられたとされる『太微仙君功過格』であるが、当初は道士や信徒を対象に規律を具体化した道教教団的な色彩が濃いものであった。明末になると、より庶民に開かれた日常的行為の規範として簡潔な功過格が生まれた。たとえば、「重病人を一人救うと10ポイント」「人の財物を盗んだ場合は百銭でマイナス1ポイント」というように細かに点数が定められており、人々は寝る前に「簿籍」(功過簿)にその点数を正直に記入し、自分の功過の総数を知り、自身の道徳的行為を省察した。 善書・功過格を実践した人物として著名なのが袁了凡で、彼は当初は人間の運命は定められているという宿命論的思考を持っていたが、功過格を授けられ、自分の意思と善行によって運命を改変することができるという立命論(造命論)の立場に転じた。彼は功過格を実践して願いを成就して進士に至り、民衆に善書を広め、下級知識人層に影響を与えた。
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