分数の環、体とは? わかりやすく解説

分数の環、体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 08:21 UTC 版)

分数」の記事における「分数の環、体」の解説

詳細は「分数体」および「環の局所化」を参照 抽象代数学において分数は、環に十分な逆元追加することで新しい環を作り出す環の局所化あるいは全商環などの概念として一般に捉えることができる(分数環あるいは商の環というような言い方もある)。 可換環 R の部分集合 S は、R の単位元 1 を含み、S の任意の2つの元 s, t について、それらの積 st が再び S の元となる(つまり乗法について閉じている場合、S は R の積閉集合という。可換環 R とその積閉集合 S に対し、R × S における二項関係 ∼ を ( r 1 , s 1 ) ∼ ( r 2 , s 2 ) ⟺ ∃ t ∈ S , t ( r 1 s 2 − r 2 s 1 ) = 0 {\displaystyle (r_{1},s_{1})\sim (r_{2},s_{2})\iff \exists t\in S,\,t(r_{1}s_{2}-r_{2}s_{1})=0} で定めると、これは R × S における同値関係与える。R × S をこの同値関係割ったものを S−1R で表し、(r, s) の属す同値類r/s などで表す。このとき、S−1R には、もとの環 R における演算両立する和や積といった環としての演算が、すでに上で述べた規則に従って与えられる可換環 R に対して、R の零因子でない元の全体積閉集合である。積閉集合 S をそのようなものとする場合、環 S−1R は R の全商環呼ばれるまた、積閉集合 S が R の素イデアル I の補集合として与えられている場合には、S−1R の代わりにしばしば RI と書いて R の I における局所化と呼ぶ。なお、R が整域ならば、このような同値関係簡約できて r 1 s 2 − r 2 s 1 = 0 {\displaystyle r_{1}s_{2}-r_{2}s_{1}=0} によって与えられ、これによって得られる全商環可換体構造を持つ。これを分数体あるいは商体と呼ぶ。 全商環商体といった構造ある種普遍性与えており、たとえば整域商体はもとの整域を含む最小の体を与えることなどが確かめられる有理数体 Q は整域である有理整数環 Z の商体である。また、体 k 上の多項式環 k[x] の商体を k 上の有理関数体呼び、k(x) で表す。k 上の形式冪級数環 k[[x]] の商体形式ローラン級数体 k((x)) である。

※この「分数の環、体」の解説は、「分数」の解説の一部です。
「分数の環、体」を含む「分数」の記事については、「分数」の概要を参照ください。

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