カラアザール病
別名:カラアザール、内臓リーシュマニア症、黒熱病
英語:Kala-Azar Disease、Kala-Azar、visceral leishmaninais
寄生虫(原虫)リーシュマニア・ドノバニによって引き起こされる熱帯病。サシチョウバエと呼ばれる吸血性のチョウバエを媒介とする感染症である。
カラアザール病は、感染後数ヶ月程度の潜伏期間を経て、高熱とともに発症する。肝臓や脾臓が肥大し、皮膚が黒変して腫れ物を生じる。致死率は非常に高く、治療を施さない場合の致死率はほぼ100%。ただし、適切な処置が施されれば90%以上の確率で治療可能とされる。
カラアザール病は北アフリカや中近東などで流行している。特にスーダン南部では過去数年間にわたり猛威を振るっており、深刻な危機に見舞われている。
関連サイト:
スーダン:南部でカラアザールが過去8年で最大の流行 ― 医療・人道危機がさらに深刻化 - 特定非営利活動法人国境なき医師団日本 2010年12月20日
スーダン:東部にカラアザール治療センターを開設 - 特定非営利活動法人国境なき医師団日本 活動ニュース 2010年04月21日掲載
内臓リーシュマニア症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/02 08:00 UTC 版)
内臓リーシュマニア症 | |
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別称 | カラ・アザール[1]、黒熱病[2]、ダムダム熱[3] |
Leishmania donovani | |
発音 | Kala-azar: (イギリス: [ˌkɑːlə əˈzɑːr] |
概要 | |
症状 | 発熱、体重減少、肝臓と脾臓の肥大[1] |
原因 | L. donovani, L. infantum[4] |
診断法 | 症状に基づき、血液検査で裏付けられる[1] |
合併症 | 赤血球減少、カラ・アザール後の皮膚リーシュマニア症[1] |
予防 | 防虫剤、防虫網[1] |
治療 | リポソーマルアムホテリシンB、スチボグルコン酸ナトリウム、パロモマイシン[4] |
頻度 | 年間50,000~90,000人[1] |
死亡数・率 | 6,000人 (2019年)[5] |
分類および外部参照情報 |
内臓リーシュマニア症(ないぞうリーシュマニアしょう、英: Visceral leishmaniasis 、VL)または、カラ・アザール(英: kala-azar)としても知られている、最も重症な形態のリーシュマニア症である[1]。
解説
症状には、発熱、体重減少、赤血球の減少、肝臓と脾臓の腫脹などがあげられる[1]。合併症には、カラ・アザール後の皮膚リーシュマニア症などがあげられる[1]。
原因はリーシュマニア 属の寄生虫であり、特にアジアとアフリカではL. donovani、南米や中東ではL. infantumが原因である[2][4]。特定の種類のサシチョウバエによって拡散される[1]。重度の疾患の危険因子には、HIVがあげられる[6]。診断は、症状に基づき、血液検査によって裏付けられる[1]。
予防するための取り組みには、サンチョウバエの排除または避けることである[1]。治療には、リポソーマルアムホテリシンBがよく用いられるが、アフリカではスチボグルコン酸ナトリウムとパロモマイシンがより効果的であるが副作用もより大きい[4]。また、ミルテホシンが使用される場合もある[4]。一般的に治療を受けなかった場合は死に至る[1]。
内臓リーシュマニア症が最も一般的にみられるのは、インド、東アフリカ、ブラジルである[1]。ほとんどの場合が集団発症であり、年間50,000人から90,000人が罹患する[1]。2019年には、約6,000が死亡した[5]。1922年にウペンドラナート・ブラフマチャリが尿素スチバミンを製造したことにより効果的な治療ができるようになった[7]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “Leishmaniasis” (英語). www.who.int. 26 July 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。16 July 2023閲覧。
- ^ a b Burza, S; Croft, SL; Boelaert, M (15 September 2018). “Leishmaniasis.”. Lancet (London, England) 392 (10151): 951-970. doi:10.1016/S0140-6736(18)31204-2. PMID 30126638.
- ^ Nazzaro, Gianluca; Rovaris, Marco; Veraldi, Stefano (1 November 2014). “Leishmaniasis: A Disease With Many Names”. JAMA Dermatology 150 (11): 1204. doi:10.1001/jamadermatol.2014.1015.
- ^ a b c d e van Griensven, J; Diro, E (March 2019). “Visceral Leishmaniasis: Recent Advances in Diagnostics and Treatment Regimens.”. Infectious disease clinics of North America 33 (1): 79-99. doi:10.1016/j.idc.2018.10.005. PMID 30712769.
- ^ a b “Visceral leishmaniasis — Level 4 cause” (英語). Institute for Health Metrics and Evaluation (15 October 2020). 18 July 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。16 July 2023閲覧。
- ^ “WHO guideline for the treatment of visceral leishmaniasis in HIV co-infected patients in East Africa and South-East Asia” (英語). www.who.int. 11 May 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。16 July 2023閲覧。
- ^ Saha, P; Chaudhury, A; Maji, AK (July 2021). “Sir U.N. Brahmachari and his battle against Kala-Azar.”. Tropical Parasitology 11 (2): 89–91. doi:10.4103/tp.tp_48_21. PMC 8579769. PMID 34765528 .
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