信仰主義とは? わかりやすく解説

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信仰主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 13:23 UTC 版)

信仰主義 (: Fideism)は、信仰理性は独立したものであるという認識論の理論である。信仰と理性は相反するものであり、特定の真実にたどり着くためには信仰の方が重要であると主張される。[1]

概説

アルバン・プランティンガ英語版は信仰主義を、「信仰のみへの排他的あるいは基本的な依存であり、その結果理性が軽視されることとなり、とりわけ哲学的あるいは宗教的な真実を追究するために利用される」と述べている。信仰主義者はそれゆえに「哲学的で宗教的な事柄においては、理性よりも信仰に依存することを促す」のであり、それゆえに理性の訴えを軽視することがある。[3]信仰主義者はとりわけ真実を探求する。そして理性はある種の真実には到達し得ず、それらの真実には信仰をもってのみたどり着くことができると主張する。[2]

歴史

主な記事:宗教と科学

テルトゥリアヌス「不合理なるがゆえに我信ず」

Credo quia absurdum (: I believe because it is absurd : 不合理なるがゆえに我信ず)という言葉は、しばしばテルトゥリアヌスのものであるとされる。しかしこれは、テルトゥリアヌスのDe Carne Christi (キリストの肉について)からの誤った引用であると考えられる。[4]テルトゥリアヌスが実際に記したことは、「神の子は死んだ。それは信じるほかない、なぜなら、それは不合理であるからだ。」[5]

パスカルと信仰主義

パスカル

パスカルによっても、信仰主義が唱えられた。パスカルは信仰について考える無神論者に対して、神への信仰を潜在的な報酬を持ち合わせた無償の選択であるとみなすことを勧めた。[6] パスカルは神が実際に存在するかどうかは問題にせず、神の存在を真実であると想定することに価値があるかどうかについて述べた。無論、パスカルの議論は特定の神に制限されたものではないが、彼自身はキリスト教の神を前提としていた。以下、そのことが述べられている文章を、彼の著作であるパンセより引用する。

信念の理由を説明できないからといってそれで一体誰がキリスト教徒を非難できるというのか、彼らは自身の説明できない宗教における信念を告白しているのだ。キリスト教徒が自らの信念を世に向けて事細かに説明したというのに、人々はそれを"馬鹿げていること"(: stultitiam)だと言う;証明できないからといって、不平をこぼすのか!もしキリスト教徒がそれを説明できてしまうなら、彼らは有口無行になってしまうだろう;彼らが思慮分別のあるのを示すのは、それが証明できないものであるからだ。
パンセ, no.233

パスカルはさらに、神の存在を示す様々な証明に関して見当違いであるとして異議を唱えた。もし証明が正しいとしても、証明のために提示された存在が伝統的に信仰対象であった神とそぐわず、啓示宗教ではなく理神論へとつながってしまうのである。[7]

参考文献

  1. ^ Amesbury 2005.
  2. ^ a b Amesbury 2005, section 1.
  3. ^ Plantinga, Alvin (1983). "Reason and Belief in God" in Alvin Plantinga and Nicholas Wolterstorff (eds.), Faith and Rationality: Reason and Belief in God, page 87. (Notre Dame: University of Notre Dame Press).[2]
  4. ^ Vainio, Olli-Pekka (2010). Beyond Fideism: Negotiable Religious Identities. Transcending boundaries in philosophy and theology. Ashgate. p. 25. ISBN 978-1-40940679-2. https://books.google.co.jp/books?id=tyTSs_dqwkcC&redir_esc=y&hl=ja 
  5. ^ Tertullian, On the Flesh of Christ, Fathers, New Advent, http://www.newadvent.org/fathers/0315.htm .
  6. ^ Geisler 1976, p. 49.
  7. ^ Pascal, Blaise (1854) (French), Pensées [Thoughts], Paris: Charles Louandre, p. 40 .



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