予定価格の公表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 05:16 UTC 版)
但し近年、競争入札の透明性を高める目的で事前に公開されることも平成19年度までは増加傾向にあった。予定価格の事前公表は「事前の入札において最低価格の入札をした一者との随意契約」という不透明な流れと、契約担当者が予定価格を漏洩して利益を誘導する危険性を払拭したことから、市民オンブズマンからも高評価を受けていた。だが、一般競争入札において同額が以前の4倍以上の頻度で発生し、くじ引き率によって落札者を決定する件数が増加した。さらに、適切な運用がされなければ予定価格が目安となって業者の積算を放棄させ、談合によって落札価格が高どまりとなる問題点も指摘されていた。そのため、平成20年3月31日に総務省、国土交通省は連名で各自治体に通達し、事前公表の取り止めを含んだ対応を促している。地方公共団体発注の場合、地方公共団体の入札・契約手続を規律している地方自治法には会計法上の封書規定のような制約はないことから、従来から各団体の自主的判断で予定価格の事前公表を実施しているところであった。このため、適正化指針で「地方公共団体においては、会計法のような法令上の制目はないことから、各団体が適切と判断するときには、事前公表を行うことができる」とした上で、事前公表により弊害が生じた場合には事前公表の取り止めを含む適切な対応をとるよう要請していたのである。その後確かに事前公表した工事の落札率は、事後公表した工事の落札率に比べて高止まりになっていることが判明したとして、事前公表制を中止したところも多くみられていた。 国発注の場合、会計法予決令79条 の規定がなされていることから、現行法下では、予定価格の事前公表は法的に制約されている。そして適正化指針で国の予定価格事前公表は 「談合が一層容易に行われる可能性があること等」を考慮して行わないこととしている。 東京都では、予定価格の事前公表を行ってきたが、豊洲市場や2020年東京オリンピック関連施設建設工事で高率の落札が相次いだことから、2017年6月、落札額の抑制や競争性の向上を狙い、予定価格を事後公表する等の制度改革を行った。しかしながら制度改正後、入札不調が相次いで発生するようになったこと、また、2018年3月の都議会では中小企業の積算業務が過重になることも指摘されたことから、小池都知事は入札制度を入札監視委員会で検証することを発言している。
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