下田喜久三とは - わかりやすく解説 Weblio辞書

下田喜久三

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2022/04/17 16:03 UTC 版)

下田喜久三（しもだきくぞう、1895年〈明治28年〉1月6日^[4]^[5] - 1970年〈昭和45年〉2月17日^[1]^[3]）は、日本の農学博士^[1]^[6]。日本および東洋におけるアスパラガス栽培の先駆者であり^[6]^[7]、日本全国に先駆けて北海道岩内町でアスパラガス栽培の研究を手がけ、大正期に冷害に強い品種改良に成功、日本で初めてアスパラガスの本格的な生産に取り組んだ^[8]。「日本のアスパラガスの父」と呼ばれる^[6]^[9]。昭和期以降も肝油ビタミンや生活科学など、多方面で活躍した^[10]。女子教育の先駆者でもあり^[11]、女学校の設立により女子教育に尽力した^[10]。兄は日本ボーイスカウト創始者の下田豊松^[5]^[12]、長男は医学者にして元旭川医科大学学長の下田晶久^{[* 1]}^[8]。

脚注

注釈

^ ^a ^b 晶久は男子として二番目の生まれでありその三年前に生まれていた長男は夭折している。喜久三の戸籍には長男が二人記述されており晶久も長男とされている。
^ アスパラガスとホソバキジカクシを交配して雑種を作り出し、栽培したとの説もある^[18]^[21]。
^ 下田は、このとき栽培のヒントを得た植物を「ホソバキジカクシ、いわゆるホタルソウ」と呼んでおり^[24]、後年にも「ホソバキジカクシ、いわゆるホタルソウ^[21]」「ホタルグサ（ホソバキジカクシ）^[25]」、または単に「ホタルグサ^[18]」と記載している資料がある。郷土史研究家の森梢伍は、1985年（昭和60年）の著書『蝦夷切支丹異聞』（日本経済評論社）において、「ホタル草」を北海道内におけるアスパラガスの別称と述べている^[5]。一方で前田克己は、1986年（昭和61年）の著書『アスパラガス』（HTBまめほん）において、ホタルソウはセリ科で、キジカクシ科のホソバキジカクシとはまったく別種の植物であり、ホソバキジカクシにもキジカクシにも「ホタルソウ」との別称が確認できないとし、岩内にのみ「ホタルソウ」または「ホタルグサ」の俗称があったと推測している^[24]。
^ ^a ^b アスパラガス「瑞洋」完成は1922年との説もある^[27]。
^ ^a ^b 「瑞洋食品研究所」設立は1918年との説もある^[26]。
^ 『下田喜久三小伝』は執筆から製本まで下田晶久が一人で手掛けたため、岩内町郷土館と親族のみに配布された。

出典

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f “昭和45年(1970)”. 岩内町 (2007年). 2021年5月4日閲覧。
^ “昭和33年(1958)”. 岩内町 (2007年). 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 森 1985, p. 252
^ ^a ^b ^c ^d ^e 高松宮 1938, pp. 2–3
^ ^a ^b ^c 森 1985, pp. 242–243
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 西東 2005, p. 159
^ “日本アスパラガス株式会社（岩内町） (PDF)”. 北海道経済部地域経済局中小企業課 (2014年9月11日). 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b 「本道アスパラガス生みの親下田喜久三博士肖像画36年ぶり岩内へ東宮園町内会に長男が寄贈生誕100年を記念「望郷の念」届く」『北海道新聞』北海道新聞社、1995年11月15日、後志朝刊、26面。
^ “食べて地元を愛すルポ vol.1「アスパラガス」”. 北海道電力. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j STVラジオ 2003, pp. 244–245
^ 大須田一彦「生きる岩田サトさん岩内町学童保育所指導員子どもの成長見守り30年」『北海道新聞』、1998年5月8日、全道夕刊、3面。
^ ^a ^b ^c 山田宏茂「ボーイスカウト、アスパラ栽培岩内から飛躍下田兄弟紹介町郷土館展」『北海道新聞』、2008年11月13日、樽B朝刊、25面。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j STVラジオ 2003, pp. 236–237
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u ^v 武智 2020, pp. 122–123
^ ^a ^b ^c ^d ^e 前田 1986, pp. 28–29
^ ^a ^b ^c 小町國市 (1997年9月2日). “下田豊松物語 (PDF)”. クニ・スカウティング・ライブラリー. p. 52. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c 青木 1974, pp. 140–141
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 朝日新聞北海道支社 1968, pp. 110–111
^ ^a ^b ^c ^d 前田 1986, pp. 30–31
^ ^a ^b ^c “「日本のアスパラガス発祥の地」記念碑が岩内町にある理由とは?”. 北海道ファンマガジン. 北海道リレーション (2017年5月17日). 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l STVラジオ 2003, pp. 238–239
^ ^a ^b 坂本工「北の事始め発祥の地あれこれアスパラガス冷害に強い作物求め岩内・共和で栽培、缶詰製造も」『北海道新聞』、2015年5月16日、全道夕刊、2面。
^ ^a ^b ^c ^d ^e 前田 1986, pp. 32–33
^ ^a ^b 前田 1986, p. 68
^ 朝日新聞北海道支社 1968, p. 14.
^ ^a ^b ^c ^d 「写真でたどる岩内の20世紀アスパラガス研究重ね耐寒種育成」『北海道新聞』、2000年1月13日、夕後夕刊、10面。
^ “冷害に強いアスパラガス栽培は北海道から始まった!!”. AERA. 朝日新聞出版 (2016年5月7日). 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d 森 1985, pp. 244–245
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 前田 1986, pp. 34–35
^ ^a ^b ^c ^d 雪印乳業 1960, pp. 414–415
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o STVラジオ 2003, pp. 240–241
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 森 1985, pp. 246–247
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 朝日新聞北海道支社 1968, pp. 112–113
^ ^a ^b ^c 浦上 2012, p. 25
^ ^a ^b 森 1985, pp. 248–249
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ STVラジオ 2003, pp. 242–243
^ ^a ^b ^c ^d きもべつ歴史プロジェクトの会 2019, p. 51
^ ^a ^b ^c ^d 前田 1986, pp. 36–37
^ “#25 アスパラガス”. ヤサイ、サイタ。. フジテレビ. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c 前田 1986, pp. 38–39
^ きもべつ歴史プロジェクトの会 2019, p. 52.
^ ^a ^b ^c ^d ^e 森 1985, pp. 250–251
^ ^a ^b ^c 高松宮 1938, pp. 4–5
^ 佐藤元彦「しりべし旅日記岩内町郷土館進取の気質つぶさに」『北海道新聞』、2011年10月4日、夕後夕刊、11面。
^ ^a ^b 佐久間泰雄「「アスパラガスの父」下田喜久三を知って業績たたえ、自費出版郷里、岩内の斉藤さん」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年7月9日、北海道朝刊、24面。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h 「わが館自慢の一品下田喜久三博士の関連資料岩内町郷土館館長坂井弘治アスパラ農業発展に力」『北海道新聞』、2015年10月20日、夕後夕刊、9面。
^ ^a ^b 川井他 2002, p. 16
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 「いしぶみ楠母・孔母・孟母頌徳碑女子教育の志しのぶ」『北海道新聞』、1995年11月17日、樽B朝刊、27面。
^ 「閉校から40年校歌復活婦女実務学寮岩内学舎有志ら埋もれた歴史に光 23日演奏会で披露」『北海道新聞』、1998年5月9日、後志朝刊、26面。
^ ^a ^b 「経済ホットライン発祥の地減るアスパラ生産安い輸入物攻勢加工企業も缶詰撤退」『北海道新聞』、1996年5月28日、樽B朝刊、25面。
^ ^a ^b 佐竹直子「戦後75年思い出の「食景色」「不急作物」アスパラ終戦後生産再開に奔走」『北海道新聞』、2020年8月23日、全道朝刊、12面。
^ ^a ^b 「ホワイトアスパラ発祥の地生かしブランド化岩内で「生産者の会」旗揚げ規格やマスコット作成へ」『北海道新聞』、2001年3月2日、央B朝刊、29面。
^ 角田悠馬「ここで働く小樽・後志日本アスパラガス清涼飲料水製造味守る技術力に誇り」『北海道新聞』、2016年5月3日、樽C朝刊、27面。
^ 「おはよう経済「岩内ブランド」確立に力アスパラガス生産者の会好評で作付け増加選果場作り新鮮さ保持」『北海道新聞』、2002年5月14日、樽B朝刊、25面。
^ ^a ^b 八重崎聖子「山海幸めぐり岩内地方のホワイトアスパラほろ苦さ、甘さ焼くと絶妙「発祥の地」の意地鮮度と品質武器に」『北海道新聞』、2003年5月30日、全道朝刊、17面。
^ 吉川雅子「北海道の野菜たちアスパラガス「白」のほろ苦さも魅力」『北海道新聞』、2002年4月13日、圏B夕刊、9面。
^ “ズイユウ”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b ^c 前田 1986, pp. 48–49
^ “喜茂別町の歴史（町制施行昭和27年〜昭和63年）”. 喜茂別町. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b 中川順子「ホワイトアスパラもぎたてレシピ」『朝日新聞』、2000年6月12日、北海道地方版、3面。
^ 前田 1986, p. 25.
^ “日本のアスパラガス発祥の地記念碑”. 岩内町. 2021年5月4日閲覧。
^ ^a ^b 前田 1986, pp. 26–27
^ 越後茂樹「和食の四季グリーンアスパラ香り、食感、露地物は格別ゆでる時は1本のまま」『北海道新聞』、1999年6月11日、全道夕刊、3面。
^ ^a ^b ^c ^d ^e 前田 1986, pp. 50–51
^ ““日本のアスパラガス発祥の地”の名は? ……いわない!”. 鈴木杏樹のいってらっしゃい. ニッポン放送 (2016年7月12日). 2021年5月4日閲覧。
^ 前田 1986, p. 52.