ベルカの錨(ベルカ・アンカー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/01 08:57 UTC 版)
「マレック・ベルカ」の記事における「ベルカの錨(ベルカ・アンカー)」の解説
ベルカの政治家としての最大の功績は、2001年の2度めの財務相を務めた時代に遡る。ベルカは、国の財政赤字の上限(キャップ)を決め、その上限を超えた場合に(世界のどの国でも財政難の際によく起こる)政治的な混乱を招くことなく自動的に緊縮財政の政策を発動する、いわゆるビルトイン・スタビライザーである「ベルカ・アンカー(ベルカの錨)」を世界ではじめて導入したことは、経済学の分野や金融界においてはあまりに有名である。これには国の債務が国内総生産(GDP)の55%を超えた場合に付加価値税(VAT)率が自動的に1%上昇することなどが含まれる。ベルカ・アンカーは当初「ベルカ・ルール」と呼ばれたが、最近の経済学では「ベルカ・アンカー」という呼び名のほうが定着している。これはベルカ自身が最初の財務相を務めたときに行われた1997年のポーランド憲法改正の際に憲法の条文に盛り込んだ財政赤字の上限に関する内容をさらに具体化したものである。 ベルカ・アンカーは国家債務の対GDP比60%のレベルがポーランド憲法に明記されており、さらに下位の法律(憲法よりは改正が容易)でより厳しい対GDP比55%が規定されている。これにより、国の累積債務がGDP比55%に達すると自動的に増税や歳出削減が行われ、これに関して国会の決議を必要としない。この、すでに約10年間続いている制度は、国の財政改革における政治的混乱や政策当局の裁量的判断による経済学上の誤謬を避けるために非常に良い方策であるとしてヨーロッパで高い評価を得ている。 近年になってドイツがポーランドを見習いこの制度を導入した。
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