プラクティカル数の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/12 02:35 UTC 版)
「プラクティカル数」の記事における「プラクティカル数の特徴」の解説
プラクティカル数の最初の特徴付けは、Srinivasan (1948)によって行われたもので、プラクティカル数は不足が2以上である不足数にはなりえないというものである。不足数とは(自身を除く)約数の和がそれ自身より小さい数であり、ここでは約数の和がそれ自身より2以上小さい数のみを指す。もし n の(1と自身を含む)約数の順序集合を d 1 , d 2 , . . . , d j {\displaystyle {d_{1},d_{2},...,d_{j}}} 、 d 1 = 1 {\displaystyle d_{1}=1} 、 d j = n {\displaystyle d_{j}=n} とすると、スリニヴァサンの特徴付けは以下の不等式に対応する 2 n ≤ 1 + ∑ i = 1 j d i {\displaystyle 2n\leq 1+\sum _{i=1}^{j}d_{i}} . 言い換えると、プラクティカル数のすべての約数を小さい順に並べた d 1 < d 2 < . . . < d j {\displaystyle {d_{1}<d_{2}<...<d_{j}}} はcomplete sub-sequenceである。 この部分的特徴付けは、Stewart (1954) と Sierpiński (1955) により拡張され、素因数分解を用いてある数がプラクティカル数かどうかを判別できることが示された。1より大きな正の整数を素因数分解し、 n = p 1 α 1 . . . p k α k {\displaystyle n=p_{1}^{\alpha _{1}}...p_{k}^{\alpha _{k}}} と表す。ここで、素数は小さい順に p 1 < p 2 < ⋯ < p k {\displaystyle p_{1}<p_{2}<\dots <p_{k}} と並んでいるものとする。このとき、 n {\displaystyle n} がプラクティカル数であるのは、各素因数 p i {\displaystyle p_{i}} が十分小さく、 p i − 1 {\displaystyle p_{i}-1} がより小さな約数の和で表せるとき、かつそのときに限る。これが真であるためには、(1以外の)プラクティカル数の最小の素因数 p 1 {\displaystyle p_{1}} は2であり、 i ( 2 〜 k) に対して、次の素数 p i {\displaystyle p_{i}} は以下の不等式に従わなければならない。 p i ≤ 1 + σ ( p 1 α 1 p 2 α 2 … p i − 1 α i − 1 ) = 1 + ∏ j = 1 i − 1 p j α j + 1 − 1 p j − 1 , {\displaystyle p_{i}\leq 1+\sigma (p_{1}^{\alpha _{1}}p_{2}^{\alpha _{2}}\dots p_{i-1}^{\alpha _{i-1}})=1+\prod _{j=1}^{i-1}{\frac {p_{j}^{\alpha _{j}+1}-1}{p_{j}-1}},} ここで、 σ ( x ) {\displaystyle \sigma (x)} はxの約数の和である。例えば、2 × 32 × 29 × 823 = 429606について考えると、 3 ≤ σ(2) + 1 = 4 29 ≤ σ(2 × 32) + 1 = 40 823 ≤ σ(2 × 32 × 29) + 1 = 1171 と不等式を満たすので、429606はプラクティカル数である。 この条件は自然数がプラクティカル数であるための必要十分条件である。 p i − 1 {\displaystyle p_{i}-1} をnの約数の和で表すためにはこの条件が必要であり、数学的帰納法によって十分条件であることもわかる。より強い条件として、nの 素因数分解が上記の条件を満たすならば、任意の m ≤ σ ( n ) {\displaystyle m\leq \sigma (n)} は以下のように n の約数の和で表現できる。 q = min { ⌊ m / p k α k ⌋ , σ ( n / p k α k ) } {\displaystyle q=\min\{\lfloor m/p_{k}^{\alpha _{k}}\rfloor ,\sigma (n/p_{k}^{\alpha _{k}})\}} となる qと、 r = m − q p k σ k {\displaystyle r=m-qp_{k}^{\sigma _{k}}} となる rを用意する q ≤ σ ( n / p k α k ) {\displaystyle q\leq \sigma (n/p_{k}^{\alpha _{k}})} であり n / p k α k {\displaystyle n/p_{k}^{\alpha _{k}}} がプラクティカル数であることより、 n / p k α k {\displaystyle n/p_{k}^{\alpha _{k}}} の約数の和で q を表せる。 r ≤ σ ( n ) − p k α k σ ( n / p k α k ) = σ ( n / p k ) {\displaystyle r\leq \sigma (n)-p_{k}^{\alpha _{k}}\sigma (n/p_{k}^{\alpha _{k}})=\sigma (n/p_{k})} であり、 n / p k {\displaystyle n/p_{k}} はプラクティカル数であることから、 n / p k {\displaystyle n/p_{k}} の約数の和で r を表せる。 r を表す約数と、 q を表す約数のそれぞれを p k α k {\displaystyle p_{k}^{\alpha _{k}}} 倍すると、 m は n の約数で表せる。
※この「プラクティカル数の特徴」の解説は、「プラクティカル数」の解説の一部です。
「プラクティカル数の特徴」を含む「プラクティカル数」の記事については、「プラクティカル数」の概要を参照ください。
- プラクティカル数の特徴のページへのリンク