ドローバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 08:11 UTC 版)
ハーモニック・ドローバーは、基本的には9本で構成される、パイプオルガンのストップ(音栓)にあたる操作子である。これを引き出すことで倍音を重ね、オルガンの音を作り上げる。それぞれ音量が0から8までの9段階あり、向こう側に押し込んだ状態(0)では音が出ず、手前にいっぱいに引く(8)と最大音量となる。ドローバーは左から16'(16フィート)・5-1/3'(5と3分の1フィート)・8'・4'・2-2/3'・2'・1-3/5'・1-1/3'・1'となっている(パイプオルガンの、相当するパイプの長さを示す)。このうち8'は「基音」と呼ばれ、この音を中心にドローバーを調整して音色を作り上げていく。白のドローバーは基音およびそれとオクターブの関係にある倍音で、右に行くほどオクターブが上がる。黒のドローバーは基音の第3、第5、第6倍音である。ペダル鍵盤は16'と8'の2本で音色を作る(ペダル専用の倍音を多く持つトーンホイールと通常のトーンホイールを併用している)。5-1/3'のドローバーは8'の左側にあるが、これは8'ではなく16'の整数次倍音(基音の整数倍の高さの音。5-1/3'は16'の第3倍音)だからである。8'を基音とした音に深みを与えたりする場合などに使用される。16'・5-1/3'のドローバーのみ色は茶色になっている。ドローバーの組み合わせをレジストレーションとよび、「88 8000 000」などと表記する。B-3などのコンソールタイプでは上下鍵盤それぞれに9本のセットが二つずつ、ペダル用に2本のセットが一つ設置される。安価かつ小型のスピネットタイプでは上鍵盤に9本のセットが一つ、下鍵盤に7本ないし8本のセットが一つ、ペダル用に1本が設置されている。
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