スリーステート・バッファ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 20:57 UTC 版)
「デジタル回路」の記事における「スリーステート・バッファ」の解説
GXY0 0 Z 0 1 Z 1 0 0 1 1 1 出力をハイ・インピーダンスにできる出力回路はスリーステート(三状態の意味)と呼ばれる。また、入力信号をそのまま出力する、信号を出力しない、ハイ・インピーダンスにするかの三状態に切り替えることができる回路は「スリーステート・バッファ」と呼ばれる。回路記号では、バッファを示す三角の印の側面にハイ・インピーダンスにするか否かの入力信号線が入る図形で示される。トライステートとも呼ばれるが、ナショナル セミコンダクターの商品名で、米国では"TRI-STATE"は商標登録されている(登録番号0941335・2138646)。なお、日本で「トライステート」「TRISTATE」は他者が登録している(登録番号 第2671297号)。 出力をハイ・インピーダンスにしないことを指示する入力信号線は、ゲートの意味で「G」と表記されたり、イネーブルの意味で「E」または「EN」と表記されることが多い。また、データバスなどのバス構造を持つ部分に使われる場合には、アウトプット・イネーブルの略で「OE」という記号が使われたり、チップ・セレクトの略で「CS」という記号が使われることも多い。 GXY0 0(Out) 0(In) 0 1(Out) 1(In) 1 0(In) 0(Out) 1 1(In) 1(Out) スリーステート・バッファを2つ組み合わせて、データ通信の方向を切り替えることができるようにした回路もよく使われている。この回路は「双方向バッファ」と呼ばれ、入力GがLの時にはYからXの方向にデータが伝わり、入力GがHの時にはXからYの方向にデータが伝わる。スリーステート・バッファや双方向バッファは、いくつもの回路ブロックが信号線を共用するデータバスやアドレスバスなどに多用される。このため、データバスなどのビット数の単位となりやすい8個のスリーステート・バッファを一つにまとめたICが製造されており、よく利用されている。 SX1X2Y0 x 0 0 0 x 1 1 1 0 x 0 1 1 x 1 また、同じくスリーステート・バッファを複数組み合わせ、ワイアードオアの原理を利用して複数の入力信号の一つだけを出力に伝えるという回路を構成することもできる。これは「データセレクタ」と呼ばれる。データセレクタは、一般の論理素子だけを用いて構成することもできる ( Y ← ( S ∧ X 1 ) ∨ ( ( ¬ S ) ∧ X 2 ) {\displaystyle Y\leftarrow (S\land X1)\lor ((\lnot S)\land X2)} ) が、スリーステートを利用することによりはるかに簡単な内部回路で実現できる。本例は2入力のデータセレクタであるが、4入力、8入力などのデータセレクタもこの回路の応用で簡単に作れる。
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