ジオマンシーと数学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/09 08:34 UTC 版)
4つの二進数の元がそれぞれの形を形成しているため、16種類の組合せ(順列)がある。表は4つの「母」から生成されるため、164 すなわち65536通りの表がありうる。数学的には、合計の点の個数が偶数の形だけが「裁判官」になりうる。つまり8種類の「裁判官」それぞれを生成する8192通りの表が存在する。伝統的なジオマンシーでは、この知識を一種のパリティチェックとして利用し、表に間違いがないことの確認に使っていた。 表に現れる16個の形(4個の「母」、4個の「娘」、4個の「姪」、2個の「証人」、「裁判官」と「調停者」)のうち、少なくとも1組は同じ形が存在する。しかし、「調停者」はオプションとされることが多いため除いて考えると、「母」の16種類の組合せで生成される表には同じ形が決して現れない。その場合、4行全部が2点の「ポプラス (Populus)」は表に決して現れない。何故なら、数学的には加算する2つの形が同じでないと「ポプラス」にはならず、「ポプラス」と何かを加算すると、そのもう一方と同じ形になるためである。そのような表では「裁判官」は「コンジャンクショ (Conjunctio)」、「アミッショ (Amissio)」、「カルサー (Carcer)」、「アクウィシショ (Acquisitio)」のいずれかとなる。そのような表を生成する16種類の「母」の組合せを以下に示す。 プエル (Puer)、カプト・ドラコニス (Caput Draconis)、トリスティシャ (Tristitia)、アルブス (Albus) コンジャンクショ (Conjunctio)、プエラ (Puella)、フォーチュナ・メジャー (Fortuna Major)、トリスティシャ プエラ、プエル、トリスティシャ、アルブス プエラ、カウダ・ドラコニス (Cauda Draconis)、トリスティシャ、アルブス ルベウス (Rubeus)、ラエティーシャ (Laetitia)、プエラ、プエル ルベウス、ラエティーシャ、カウダ・ドラコニス、プエラ ルベウス、ラエティーシャ、カウダ・ドラコニス、カプト・ドラコニス ルベウス、ラエティーシャ、カウダ・ドラコニス、プエル アクウィシショ (Acquisitio)、プエラ、アルブス、フォーチュナ・メジャー ラエティーシャ、フォーチュナ・メジャー、プエル、コンジャンクショ ラエティーシャ、フォーチュナ・メジャー、アクウィシショ、カウダ・ドラコニス カウダ・ドラコニス、カプト・ドラコニス、トリスティシャ、アルブス カプト・ドラコニス、アミッショ (Amissio)、フォーチュナ・メジャー、トリスティシャ カプト・ドラコニス、カルサー (Carcer)、アルブス、フォーチュナ・メジャー フォーチュナ・メジャー、ルベウス、プエル、アミッショ フォーチュナ・メジャー、ルベウス、カルサー、カウダ・ドラコニス 数学者 Ron Eglash はアフリカの文化に見られるフラクタル構造を研究する中で、ジオマンシーの占い師が地面に初期の行群を描き、それに二進の再帰プロセスを適用して乱数を生成していることを発見した。この技法が北アフリカのイスラム神秘家を経てヨーロッパにもたらされた。おそらく、北アフリカと西アフリカの交易やイスラム王国により、アフリカの伝統的技法が伝わったと考えられている。他の地域(例えば中東や中国)では10を底とする数値体系が使われてきたのに対して、ジオマンシーが使っている2を底とする体系はサハラ以南のアフリカで広く使われてきた。ドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツが二進法を考案した背景には、ジオマンシーの技法もあると考えられ、それが後のブール代数やコンピュータの基礎となった。
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