ジェンダーに対する認識の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 15:20 UTC 版)
「私作る人、僕食べる人」の記事における「ジェンダーに対する認識の拡大」の解説
『私作る人、僕食べる人』のCMは、日本においてジェンダーの観点から広告が社会的な問題となった最初の事例として知られ、それまで関心のなかった層がジェンダーについて考えるきっかけになったと評価されている。「行動を起こす女たちの会」が『私作る人、僕食べる人』のCMに抗議した当時は様々な議論を呼んだが、ジェンダー表現が差別にあたるという認識は徐々に社会に広がり、こうした広告は次第に減少していった。それでもジェンダー表現に関する広告が問題視される事例がしばしば発生してはいるものの、当時と違ってジェンダーに対する認識が共有され、価値観も多様化している日本社会において、固定的な性別役割分担意識に基づくと考えられる表現を行う広告は、大きな批判にさらされるようになっている。 ジャーナリストの治部れんげは、2018年(平成30年)の著書の中で、「前述した週刊誌のような表現を使えば、今ならその週刊誌自体が批判を浴びるはず」と社会の変化を指摘している。また、帝京大学の吉野ヒロ子は、当時は放送開始から「行動を起こす女たちの会」の抗議まで1か月、放送中止までさらに1か月かかったが、インターネットが普及した2018年時点であれば「放映開始後数時間で騒動となり、翌日か翌々日には放映中止となるのではないでしょうか」と述べている。 なお、治部は、ハウス食品工業の広報室長の一連の対応について、「自社のCMに反対し、中止を求める消費者と直接会っている」「メディアの取材に対して、回答を控えずに意見を述べている」「社内でいかなる対応策が検討されているか、その時点での最新情報を提供している」点をあげて、「今でも学ぶべきところが多い」と評価している。
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