クーロンブロッケード効果が起きる条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20 09:01 UTC 版)
「クーロンブロッケード」の記事における「クーロンブロッケード効果が起きる条件」の解説
クーロンブロッケードを観測するには、特徴的な静電エネルギーの大きさ Δ E C = e 2 2 C {\displaystyle \Delta E_{C}={\frac {e^{2}}{2C}}} (接合を電子一個分帯電させるために必要なエネルギー)が電子の熱エネルギー以上でなければならない。例えば接合容量が1fF (10-15F) 以下であれば、必要な温度はおよそ1K以下である。この温度は希釈冷凍機などで容易に実現できる。 比誘電率10・厚さ1nmの酸化絶縁層を用いて平行平板コンデンサ型のトンネル接合を作成し、1fFの電気容量を持たせたいとすれば、必要となる電極の面積はおよそ100nm×100nmである。このスケールの構造を電子ビームリソグラフィとシャドウマスク法などを用いて作成するのは困難ではない。 トンネル接合の抵抗値 R {\displaystyle R} についても原理的な制約がある。電子一個のトンネルに伴う静電エネルギーの励起は回路の時定数 τ = R C {\displaystyle \tau =RC} 程度の有限の寿命を持つと考えられる。このため励起状態のエネルギーは Δ E C {\displaystyle \Delta E_{C}} の周りでローレンツ型に広がって分布する。基底状態から Δ E C {\displaystyle \Delta E_{C}} までの高さが広がりの幅(およそ h / τ {\displaystyle h/\tau } )よりも小さい場合、ここまでに記した半古典描像が適用できなくなり、明確なクーロンブロッケードは観測できない。条件は Δ E C = e 2 2 C ≫ h R C {\displaystyle \Delta E_{C}={\frac {e^{2}}{2C}}\gg {\frac {h}{RC}}} であるから、抵抗値は R ≫ h e 2 {\displaystyle R\gg {\frac {h}{e^{2}}}} でなければならない。この値 h / e 2 {\displaystyle h/e^{2}} は抵抗量子に等しい。 これ以外にも、トンネル接合と測定機器をつなぐ導線の電気容量が相対的に大きいとクーロンブロッケードを観測できなくなる。
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