ウイルスの侵入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 09:53 UTC 版)
「インフルエンザウイルス」の記事における「ウイルスの侵入」の解説
ヘマグルチニンによって細胞表面に吸着したウイルス粒子は、そこから細胞内部に侵入する。インフルエンザウイルスでは、この過程は宿主細胞のエンドサイトーシスによって行われる。この過程は、宿主細胞の持つ生理機構であり、ウイルス粒子は「侵入」というよりも、いわば受動的に取り込まれる。言い換えれば、宿主細胞はウイルス粒子を積極的に取り込む。なお、全てのウイルスがエンドサイトーシスを利用しているわけではなく、麻疹ウイルスやヒト免疫不全ウイルスには見られない。 エンドサイトーシスにはいくつかの機構が知られているが、そのうち、クラスリン介在性エンドサイトーシスが関与することが早くから知られていた。この機構では、まずウイルス粒子が結合した部分の細胞膜は徐々に内部に向けて陥没し、それを細胞内から裏打ちするように、クラスリンと呼ばれるタンパク質が集まってくる。そして最終的に、ウイルス粒子は、細胞膜に由来する脂質二重膜と、さらにそれをクラスリンが取り囲んだクラスリン被覆小胞 (chlathrin-coated vesicle) と呼ばれる小胞に包まれた形で、細胞質に取り込まれる。細胞質内に取り込まれると、クラスリンは速やかに外れ、小胞は初期エンドソームと膜融合を起こし、ウイルスはエンドソーム内に取り込まれる。 また、クラスリン介在性エンドサイトーシスを抑制してもインフルエンザ感染が抑えられないことから、クラスリンが介在しない機構によってもウイルスの取り込みが行われることが判明している。例えば、脂質ラフトからの取り込み、Rasタンパク質とPI3キナーゼなどの関与が示唆されている。
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