イデオロギー的アプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 15:56 UTC 版)
「ポピュリズム」の記事における「イデオロギー的アプローチ」の解説
ポピュリズムは非民主主義的で、ファシズムや独裁主義に近いとされることもあるが、実際にはイデオロギー的な体系をもっているわけではない。ポピュリズムが批判するのは、三権分立や官僚機構など、自由主義的原則に基づくエリート支配によって、人民の意思が歪曲されている状況であることが多い。既存の利益団体や職能団体に包摂されておらず、政治的に正当に代表されていないと感じている層(農民や単純労働者など)の不満を吸い上げ、既得権益層や過度に保護されているとされるエリートを非難して動員を図るものであり、ここから反エスタブリッシュメント、非主流派の政治と呼称されることもある。ポピュリストが大衆の利益を安易に追求することで少数者への抑圧につながり民主主義の危機へと転じる危険性は存在するが、それは民主主義の本質であって、ポピュリズムそのものの問題ではない。民主主義は、統治者(政治家)と被統治者(有権者)との同一性を原則としているが、代表制民主主義においては、実際には両者の間につねに歪みが生ずる。この代表制の歪みを示す兆候としてポピュリズムをとらえることができる。いいかえれば、ポピュリズムによって民主主義が危機に陥るのではなく、民主主義が機能していないためにポピュリズムが生まれるといえる。Margaret Canovanは、ポピュリストが「真の民主主義者を名乗り、政府、主要政党、メディアによって組織的に無視されている不満や意見を表明する」ことを強調し、ポピュリズムはバランスが崩れた政治システムに対する民主的な是正の土台であると考えている。
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