よく似た属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 19:21 UTC 版)
その中でもっともよく似ているのはパラシテラ Parasitellaである。無性生殖器官の形態ではケカビ属と区別できない。好適なケカビ類があれば、吸盤状の菌糸を付着して寄生するが、寄生せずとも腐生的に生育する。配偶子嚢に短い突起を生じるので別属とされる。ツガイケカビ(Zygorhyncus)も似ているが、自家和合性で配偶子嚢にはっきりした大小差(性的二形)があるのが特徴である。シャジクケカビ Actinomucorも胞子嚢単体ではケカビと区別できないが、頂性の大型の胞子嚢と側枝の小型の胞子嚢が分化することと、気中菌糸を出す点が異なる。 コウガイケカビ科のGilbertella や Poitrasia も大きい胞子嚢のみをつけるが、胞子嚢壁が硬く2分することや胞子嚢胞子に糸状の付属突起があることなどが異なる。 クモノスカビやユミケカビなどは、胞子嚢にアポフィシスがあることで区別できる。また、これらのカビの多くは気中菌糸を発達させる。 別の点でよく似ているのがバクセラ Backusellaである。ケカビにそっくりの大きな胞子嚢を長い柄の先につけるが、菌糸のあちこちから小胞子嚢や分生子様の単胞子性小胞子嚢を出すのが特徴である。小胞子嚢を持つためにエダケカビ科に属させているが、小胞子嚢はさほど目立たないので、一見はケカビにしか見えない。実際、この属として最初に記載されたB. circinaは当初はケカビ科として扱われた。また、それより前に記載されていたB. lamprosporusは、その当時はケカビ属に所属させていた。 また、クサレケカビ属は大型の胞子嚢しか作らないものが多く、その点ではケカビに似るが、胞子嚢に中軸がない点で大きく異なる。ただし、これに含まれていた頃はisabellina節として扱われていた1群は、他のクサレケカビ類とはやや異なった性質を持ち、ケカビに近いところがあったため、時にこれをMicromucorと呼んでケカビ科に含めたり、あるいは節としてケカビ属に置いたりしたことがある。2000年代当初から現在では、独立させてウンベロプシス Umberopsisと呼んでいる。
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