はやにえ(早贄、速贄)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 08:12 UTC 版)
モズは捕らえた獲物を木の枝等に突き刺したり、木の枝股に挟む習性をもつ。秋に初めての獲物を生け贄として奉げたという言い伝えから「モズのはやにえ」といわれる。稀に串刺しにされたばかりで生きて動いているものも見つかる。はやにえは本種のみならず、モズ類の全てが行う行動である。 モズは秋に頻繁にはやにえを作ることが知られる。2019年5月、大阪市立大学と北海道大学の共同研究により、はやにえの消費が多かったオスほど繁殖期の歌の質が高まり、つがい相手を獲得しやすくなる事が明らかになった。これは、モズのオスのはやにえが「配偶者獲得で重要な歌の魅力を高める栄養食」として機能していることを示している。 このほかにも、早贄の機能についての仮説が複数存在するが、その多くは未検証である。 餌の少ない冬季の保存食。はやにえが消費されずにそのまま放置されるという意見から、この仮説はこれまで否定的に捉えられてきた。しかし、近年の詳細な学術研究により、はやにえのほとんどは消費されること、特にはやにえの消費量が気温の低い(餌の少ない)時期に多いことが判明し、はやにえは冬の保存食の役割をもつと考えられている。 摂餌のための固定。ワシやタカとは違いモズの足の力は弱く、獲物を掴んで食べることがむずかしい。そのため小枝や棘にフォークのように獲物を固定する手段として はやにえ行動が発達したのではないかという仮説。 モズは空腹、満腹に関係なく獲物を見つけると本能的に捕える習性があり、獲物を捕らえればとりあえずは突き刺し、空腹ならばそのまま食べ、満腹ならば残すという説。 はやにえの位置は冬季の積雪量を占うことができるという風説もある。冬の食糧確保という点から、本能的に積雪量を感知しはやにえを雪に隠れない位置に造る、よって位置が低ければその冬は積雪量が少ないとされるが、積雪量を予測する仕組みは未検証である。
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