「こんにちは、さようなら」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 14:31 UTC 版)
「きみはいい子」の記事における「「こんにちは、さようなら」」の解説
あらすじ 通学路のそばに1人で住んでいるあきこは、いつも「こんにちは、さようなら」と挨拶してくれる子のおかげで、自分がこの世に生きていることを実感できている。他にも、春になると毎年のように1年生が呼び鈴を鳴らして逃げていき、一度、若い男の先生が謝りに来たこともあったが、それが今年だったか去年だったかはわからないほど、最近のあきこの記憶は曖昧になっている。ある日、当然お金を払ったつもりでスーパーマーケットを出ると、「お会計がまだです、おばあちゃん。」と声をかけられる。家族がいるかと聞かれ、1人暮らしだと答えると、お金を払うだけで解放してもらえた。後日また買い物に行き、見張られていることを感じながら支払いをすませ、家に帰るといつも挨拶してくれる男の子が家の前を俯いてゆっくり歩いていた。声をかけると、拙い口調で鍵を落としたから(あきこの)鍵を貸して欲しいと言う。あきこはこの家の鍵では男の子の家の鍵は開かないことを教え、彼を家に招き入れる。あきこは櫻井弘也と名乗ったその子にようかんを食べさせ、お手玉をして遊び、5時になったところで家に電話して母親に知らせる。迎えにきた母親は、あきこがスーパーマーケットで支払いを忘れた際に声をかけてきた店員だった。「この子には障害があります。ご迷惑をおかけしました。」と丁重に謝る母親に、「障害なんて、何かの間違いじゃないかしら。この子はいつもきちんと挨拶してくれるのよ。こんなにいい子はいないわ、ずっとお母さんをうらやましく思っていたの。」と伝えると、母親はそんなことを言われたのは初めてだと言って泣き出す。そして弘也が他人の気持ちを理解できず、顔には表情が無くまともな会話もできないため、叩いたり、一緒に死にたいと思ったことなどを泣きながら打ち明ける。 登場人物 あきこ 桜が丘小学校の通学路沿いにある両親が残した家に1人で住む80歳を超えた老女。女学生の頃は学徒動員で学校にはほとんど通わず、製靴工場でキャラメル作りをしていた。空襲で弟を亡くしている。戦後に見合いで結婚したが、すぐに離婚し、その後は父親の会社で帳簿をつける仕事をしていた。 櫻井 弘也(さくらい ひろや) 「こんにちは、さようなら」と必ずあきこに挨拶していく男の子。色が白く、黒い目がくりくりとしている。桜が丘小学校4年2組。 弘也の母 スーパーマーケットの店員。弘也の障害がわかった時に夫が出て行ったため、1人で弘也を育てている。
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