《生憎》の正しい読み方
「生憎」の正しい読み方
「生憎」は「あいにく」と読む言葉である。かつては「あやにく」と読んだが、現代における読み方は「あいにく」である。「生」の字には「せい」「しょう」「なま」「うぶ」「い(-きる)」「は(-える)」「な(-す)」と多種多様な読み方があるが、生を「あい」と読む例は「生憎」の他にはない、といってよい。「生憎(あいにく)」は固有の読み方(いわゆる熟字訓)と見なしてよいだろう。
「生憎(あいにく)」は古語の形容詞「生-憎し(あや-にくし)」に由来する語である。これが変化して「生憎(あやにく)」の形で用いられるようになり、さらに「あやにく」と「あいにく」の両方が使用されるようになった後、「あいにく」の方が一般的な読み方として定着したとされる。
「生憎」の意味解説
生憎は、予想や目的にそぐわないさま、都合の悪いさまを意味する。また、折悪しく、具合悪く、の意味もある。物事が期待や目的通りにいかず、残念だというニュアンスが込められる。古語における「生憎し(あやにくし)」も「予想外の辛い事態」を形容する表現として用いられている。
なお古語においては「生憎し」と書いて「なまにくし」と読んだ事例もある。「まったくもって憎たらしい」くらいの意味合いで用いられている。
漢文に「生憎」の語が登場することがあり、その場合は「せいそう」と読まれる。
「生憎」の類語・用例・例文
生憎の類語・類似表現としては「運悪く」「残念ながら」「遺憾ながら」「折悪しく」などが挙げられる。「生憎」の例文。
・生憎の空模様ですが、本日はお越しいただき誠にありがとうございます。
・来週の社内創立記念イベントですが、生憎、私は出席することができなくなりました。
・生憎ですが、本日の特売商品はもう売り切れてしまいました。
・帰省して、久々に実家の近所の友人を訪ねたが、生憎留守だった。
自分の非によって相手の期待に沿えない場合は、「生憎」という言葉は適さず、例えば、「本日締め切りの資料は、生憎ですが、まだ完成しておりません」という言い方は、違和感を与える。また、生憎の丁寧語「お生憎様」は、敬語表現として目上の人に使うことができるが、相手の期待が外れたことをからかい、皮肉を込めて使われることもあるため、使う場面や相手によって、注意が必要である。
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