au 4G LTE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 02:20 UTC 版)
概要
通信規格には3.9Gに属する技術であるLTEが採用されている。かつて、KDDIではCDMA 1X WIN(のちCDMA 1Xと共に2012年11月2日よりサービス名をau 3Gに改称)の後継となる通信規格としてLTEとほぼ同等の性能を有するUMBの採用を予定していたが、主要各国のCDMA事業者がLTE採用を表明したことを受けて、2008年にLTEの採用を正式に決定した[2]。
他キャリアのLTEサービスに存在しない独自技術として、音声着信時にLTEから3Gに回線を約4秒で切り替える高速なCSフォールバックである「eCSFB」(enhanced Circuit Switched Fallback)がサービス開始当初から導入されている[3]。
約款上は、携帯電話(スマートフォン・ガラホ)が「LTEデュアル」、データ通信端末・タブレットが「LTEシングル」であり、デュアル契約は第1種と第2種が、シングル契約は第1~4種が存在する。
展開
使用周波数帯
2014年4月時点では、800MHz帯(Band 18)10MHz幅×2・1.5GHz帯(Band 11)10MHz幅×2・2.1GHz帯(Band 1)20MHz幅×2の計40MHz幅を用いてサービスを提供している。また、2015年1月より700MHz帯(Band 28)10MHz幅×2でのサービスも順次提供される。
エリア展開
サービス開始当初は、Android・データ通信端末(800MHz帯・1.5GHz帯)とiOS端末(2.1GHz帯)で使用周波数帯が分離されていたため、それぞれの周波数帯でエリアを十分に整備していく必要があった。しかし、800MHz帯を主力とする当初からの整備方針や、電波の性質上、低周波数帯であるAndroid・データ通信端末専用の800MHz・1.5GHz帯のエリア拡大の方が比較的スムーズに進行し、各種メディアの記事にもその傾向が記されていた。
2013年夏モデルより、800MHz帯・1.5GHz帯・2.1GHz帯の3つの周波数帯に対応したAndroid端末の提供が開始された。また、2013年9月からは800MHz帯・2.1GHz帯の2つの周波数帯に対応したiOS端末iPhone 5sおよびiPhone 5cの提供が開始され、Android・データ通信端末とiOS端末の間のサービス提供エリアの差は小さくなっている。
2012年度末(2013年3月)までの実人口カバー率96%の実現を目標としエリア整備を行うとされていたが、これは800MHz帯とその補完バンドである1.5GHz帯のエリアである。また、2014年にはこのエリアの実人口カバー率が99%以上になるとの見通しが、2013年1月28日の決算発表の場での社長インタビューで明らかにされた。その後、2014年3月14日付で800MHz帯によるau 4G LTEの実人口カバー率99%を達成した[4]。
2014年4月21日のキャリアアグリゲーションに関する発表の場で、2.1GHz帯のエリアも順次拡大していき、2014年3月末時点で85%である2.1GHz帯の実人口カバー率は、2015年3月末には90%を超える予定だと発表した[5]。その後、2.1GHz帯の実人口カバー率は、2014年6月末時点で90%[6]、2014年7月末時点で91%[7]、2014年9月末時点で92%を達成した[8]。
800MHz帯・1.5GHz帯のエリアマップはホームページ上に掲載されているが、2.1GHz帯に関してはエリアマップが提供されておらず、利用可能な市町村名が公開されているのみである。ただし、地下鉄エリアは800MHz帯と同等のエリアに達している。
- 2013年 au 4G LTEの人口カバー率の案内に関する問題
2013年3月15日、auの総合カタログ、法人向け総合カタログ、サイト上でのau 4G LTEの人口カバー率に誤記があると発表した[9][10]。誤記内容は、「iPhone 5が対応しない周波数帯(800MHz帯・1.5GHz帯)において、下り最大75Mbpsでの実人口カバー率を2013年までに96%を達成する」という内容を「iPhone 5を含む」と記載したというものである。
KDDIは同年5月21日に消費者庁から、これらの広告の内容について、不当景品類及び不当表示防止法第6条の規定に基づく措置命令を受け、同時に記載内容に問題のあったau 4G LTE(iPhone 5が唯一対応する2.1GHz帯)での下り最大75Mbpsエリアの実人口カバー率が14%であることを明らかにした[11]。なお、2013年5月21日時点では下り最大37.5Mbpsでの実人口カバー率は公開されなかったが、同年6月10日に同年5月末現在の実人口カバー率が71%であることを公表した[12]。
通信速度
サービス開始当初は800MHz帯・1.5GHz帯・2.1GHz帯のすべてにおいて、下り最大75Mbps(10MHz幅)でのサービスが提供されていた。なお、2.1GHz帯の多くのエリアでは下り最大37.5Mbps(5MHz幅)での提供であった。これは他社の高速通信サービスと同様に、4G LTE非対応端末の収容のために3Gの周波数帯を十分に残す必要があったためである。
2013年5月20日の2013年夏モデル発表会の場で、2.1GHz帯における下り最大100Mbps(上り最大15Mbps)のサービスの開始が正式に発表された。なお、基地局の仕様では下り最大112.5Mbpsまで対応しており、対応端末が発売され次第、同速度でのサービス提供の開始が可能となっていた。
2013年9月2日には、同年8月から一部エリアの基地局において、20MHz幅化(下り最大150Mbps)を開始していることを明らかにした[13]。その後、同年10月2日に2013年冬モデルとして、下り最大150Mbpsのサービスに対応した端末が発表されている。
2014年4月21日、LTE-Advanced(4G)の技術の一つである非連続の周波数帯を束ねて広帯域化するキャリアアグリゲーション(CA)技術を用いて、より広大なエリアにおける下り最大150Mbps(計20MHz幅)でのサービスを2014年夏から順次開始すると発表した[14]。その後、同年5月21日のGALAXY S5 SCL23へのソフトウェアアップデートの提供と同時にサービスを開始している。
料金
3G/WiMAXなどから4G LTEへの契約変更には、手数料として3,240円(税込)がかかる。また逆に4G LTEから3G/WiMAXなどへの変更も同様に契約変更手数料がかかる。
LTEプラン
4G LTE対応スマートフォン端末を使用するにはLTEプランへの加入が必須である(タブレット端末の場合は不要)。基本使用料は誰でも割・スマイルハート割引への加入で月額1,008円(加入しない場合は2,016円)である。従来のCDMA 1X WIN端末向けプランには加入することができず、無料通話分は廃止された。通話料・Cメール送受信料は以下の通り。
国内通話 | Cメール | |||
---|---|---|---|---|
1~21時 | 21~1時 | |||
通信先 | au携帯 | 無料 | 21.6円/30秒
(au通話定額24加入で無料・通話ワイド24加入で半額) |
送受信無料 |
au以外 | 21.6円/30秒
(通話ワイド24加入で半額) |
送信3.24円/1通
受信無料 |
- 「家族割」と「誰でも割・スマイルハート割引」の加入で家族間通話は24時間無料。
カケホとデジラ
通話オプション
- au通話定額24(515円/月) - 24時間au携帯電話への通話が無料となる。指定通話定額との併用は不可。
- 通話ワイド24(1,008円/月) - 他社携帯電話・固定電話および通話無料対象時間外のau携帯電話への通話料が半額となる。
- 電話きほんパック(324円/月) - 留守番電話サービスを使用するためには加入必須。「迷惑電話撃退サービス」「三者通話サービス」「待ちうた」も利用できる。
インターネット接続サービス
インターネットを利用する場合はスマートフォン・タブレット端末ともに「LTE NET」に加入する必要がある。料金は324円で従来のIS NETと同額である。「LTEフラット」等のデータ定額サービスに加入しない場合の国内パケット通信料は0.648円/KB(上限21,600円)である。
通信量制限は他社と同じく7GBで、これを超過した場合は128kbpsに速度制限されるが、2,700円の「エクストラオプション」に加入することにより追加で2GBまでは速度制限を回避できる。
- データ端末向けインターネット接続サービス
データ端末向けには「LTE NET for DATA」が用意されている。料金は525円でデータ端末(2013年2月現在、法人向けのみ提供)向けとなっているが、Androidのスマートフォン・タブレットでも利用可能である。「LTE NET」との違いは以下の通り。
- IPv4グローバルアドレスによるインターネット接続 - LTE NETはプライベートアドレス(キャリアグレードNAT)。
- IPv6グローバルアドレスによるインターネット接続 - スマートフォン・タブレット自身にIPv6アドレスを付与。なお、テザリングで接続したPCはIPv4アドレスしか使用できない。
- キャリアメール(@ezweb.ne.jp)使用不可 - キャリアメールにはLTE NET加入が必要。
- PCからの通信は最適化(画像等の高圧縮化)の対象外 - LTE NETはPCからの通信も最適化の対象。
上記以外のパケット料金や通信制限などはLTE NETと同じ。
- データ定額サービス
- LTEフラット(6,156円/月) - 従来のISフラットと同等のサービス。
- LTEフラット for Tab/Tab(i)(6,156円/月) - タブレット端末向けのデータ定額サービス。料金は「誰でも割シングル」適用時のもの。
- LTEダブル定額 for Tab/Tab(i)(540円/月~5,662円/月) - 「スマホセット割(詳細は下記)」適用時のみ選択可能。11.5MBまでは従量制(以後、定額制)である。料金は「誰でも割シングル」適用時のもの。
- オプション
- テザリングオプション(540円/月) - +WiMAX対応の3G機とは異なり、テザリングを使用するためには加入必須となっている。当プラン加入で7GBの通信量制限が500MB上乗せされ7.5GBまでとなる。
- エクストラオプション(2,700円) - 当オプションへの加入により、通信速度の制限を回避することができる。通信量を2GB経過するごとに課金される。
- タブレット端末向け割引サービス
- スマホセット割 - 同一の名義のauのスマートフォンを持っている場合は基本料(「LTEフラット for Tab/Tab(i)」「LTEダブル定額 for Tab/Tab(i)」)より980円割引となる。また、2013年5月末まではスマホセット割適用の場合に限り、「ゼロスタート定額キャンペーン」として、「LTEダブル定額 for Tab/Tab(i)」が最低0円から定額上限5,122円となる。LTE NETの月額使用料である324円はデータ通信を使用しなかった月は無料となる。
公衆無線LANサービスであるau Wi-Fi SPOT、家庭向けレンタル無線LANルータであるWi-Fi HOME SPOTの利用は「LTEフラット」「LTEフラット for Tab/Tab(i)」「LTEダブル定額 for Tab/Tab(i)」のいずれかへの加入により無料となる。例外として、au Wi-Fi SPOTはゼロスタート定額キャンペーン適用の場合のみ月額504円の料金がかかる[15][16]。
- ^ “auの次世代高速通信サービス「4G LTE」の提供開始について”. KDDI・沖縄セルラー電話 (2012年9月14日). 2012年9月15日閲覧。
- ^ 3.9世代移動通信システムへのLTE採用について
- ^ “石野純也のMobile Eye 特別編:料金最強、ネットワーク最強、端末の機能も数カ月先行――KDDI田中社長らが語る「iPhone 5」と「LTE」”. ITmedia Mobile (2012年9月21日). 2012年9月29日閲覧。
- ^ “プラチナバンド 800MHz 「4G LTE」の実人口カバー率が99%に!”. KDDI (2014年3月20日). 2014年3月21日閲覧。
- ^ “安定した高速通信を実現――KDDIが他社に先がけ「キャリアアグリゲーション」導入へ - ITmedia Mobile”. ITmedia. (2014年4月21日) 2014年5月16日閲覧。
- ^ “「3社間競争より気がかりなのはMVNO市場」 「au WALLET」やミャンマー事業で新市場狙うKDDI - ITmedia Mobile”. ITmedia. (2014年7月30日) 2014年7月31日閲覧。
- ^ “新しくなった「HTC J butterfly」発表会 - ケータイ Watch”. ケータイ Watch. (2014年8月19日) 2014年8月19日閲覧。
- ^ “KDDI田中社長インタビュー:僕はオタクでガジェッター、自ら電波測定する社長の「べき」論 - Engadget Japanese”. Engadget Japanese. (2014年10月1日). オリジナルの2018年1月13日時点におけるアーカイブ。 2014年10月1日閲覧。
- ^ “auの総合カタログやWebサイトに誤記――iPhone 5のau 4G LTE 実人口カバー率に関して”. IT media. (2013年3月15日)
- ^ “au版iPhoneのカバーエリア誤記「あまりに情けない」KDDI田中社長”. IT media. (2013年4月30日)
- ^ “当社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ”. KDDI・沖縄セルラー電話 (2013年5月21日). 2013年5月21日閲覧。
- ^ “KDDI、iPhone 5の「4G LTE」実人口カバー率を公表――2013年5月末時点で71%”. IT media. (2013年6月10日) 2013年7月9日閲覧。
- ^ “KDDIがあたらしいau 4G LTEを発表 - キーワードは「つながる力」 (3) 「あたらしいau 4G LTE」とは その2”. マイナビニュース. (2013年9月2日) 2013年9月18日閲覧。
- ^ “日本初!「キャリアアグリゲーション」の導入について”. KDDI・沖縄セルラー電話 (2014年4月21日). 2014年4月21日閲覧。
- ^ auのタブレット向けデータ通信料金プランの提供開始について KDDI・沖縄セルラー電話 (2012年11月29日)。
- ^ 「4G LTE」対応auスマートフォン/タブレットのキャンペーン延長について KDDI・沖縄セルラー電話 (2012年12月25日)。
- ^ 上からBand 1、Band 11/18
- ^ 地域により各機種の発売開始の時期が異なる
- ^ 上からBand 1、Band 11/18、WiMAX 2+(Band 41)
- ^ a b 上からBand 1、Band 11/18、CA使用時(CA_1-18)、WiMAX2+(Band 41)
- ^ a b iOS 8.3及びキャリア設定のアップデートで対応。
- ^ auオンラインショップおよびKDDI直営店を除くその他のau取扱店(トヨタディーラー各店(PiPit)を含む)では2015年1月6日順次発売
- ^ 初期のSOL23のCMのように「au 4G LTE」のコールが無い場合もある。
- ^ TVCM | au 4G LTE 「超高速・井川さん」篇 KDDI公式YouTubeより
- ^ iPhone 5cは2013年9月 - 2014年3月
- 1 au 4G LTEとは
- 2 au 4G LTEの概要
- 3 端末
- 4 沿革
- 5 au ICカードの取り扱い
- 6 関連項目
- au 4G LTEのページへのリンク