魔界都市〈新宿〉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/23 09:38 UTC 版)
概要
初出であり同名の小説では、世界の平和の命運を握る地球連邦首席の暗殺を防ぐため、魔道士レヴィ・ラーを倒すべく魔界都市〈新宿〉に赴いた
菊池の後発作品の〈新宿〉や「魔界医師」ドクター・メフィストなどは、本作が初出となっているが、この時点では〈新宿〉の全貌は固定されておらず、キャラクター描写などに後の作品と矛盾する点が散見される。特に作中に2030年と記述のある年代設定および魔震の発生年(同作中では199X年もしくは1999年)はこの他の魔界都市ものの作品との関係に大きなくいちがいを発生させるため、後に菊地自身がこの作品の〈新宿〉は他の作品のそれとは別のものと考えて欲しいと述べている[要出典][2]。
〈新宿〉以外の場所を舞台とした菊地の作品のキャラクターが登場するクロスオーバーの舞台ともなっており、その作品群に占める登場率の高さから、菊地は盟友である夢枕獏に「魔界都市のセンセー」とからかわれている。
あらすじ
200X年、新宿は、わずか3秒で崩壊した。それから数十年後の2030年、偉大な政治指導者であり同時に聖人として知られる地球連邦首席・羅摩(らま)こずみを魔道士レヴィー・ラーが呪殺しようとしていた。人類を平和と繁栄に導ける首席は、なくてはならない存在だが、政治的混乱以上にレヴィー・ラーの目的が首席を生贄に地球を魔界と化すことにあると霊能者のライ老師は、見抜いた。
かつてライ老師に師事した二人の弟子、それがレヴィー・ラーと十六夜弦一郎だった。レヴィー・ラーは、地球を第2の魔界にするという妄執に囚われており、〈新宿〉を魔界都市に変えた〈魔震〉もその計画の一部だった。レヴィー・ラーが〈新宿〉に潜んでいることは分かっていたがライ老師だが、呪いから首席を守るため、離れることができない。首席の呪いは、残り3日で首席の命を奪ってしまう。そこでもう一人の弟子であり、正義感の強かった十六夜弦一郎の遺児・京也に希望を託すことに決める。
京也は、品行方正といえないまでも父・弦一郎によって霊力を込めた木刀「阿修羅」を譲られ、強力な念法を操る霊能者に成長していた。当初、京也は、「父は自分の修業を中断した。期待にそえると思えない」「命を懸ける理由がない」と話してライ老師の依頼を断る。しかし次第に父が京也に自分の意思で世界を救うことを望んでいたと信じて〈新宿〉に向かう。
一方、父・羅摩こずみの危機に平静さをなくした娘のさやかは、指輪型レーザー銃だけを武器に〈新宿〉に一人乗り込んだ。〈新宿〉で合流した京也とさやかは、協力してレヴィー・ラーを探す。さやかは、父親譲りの聖人ぶりで月コロニー育ちも手伝って地球の悪意に満ちた常識を知らない。しかし行く先々で持ち前のカリスマ性を発揮して京也や〈新宿〉の犯罪者たちをも驚かせる。
〈新宿〉の犯罪者や亡霊、アンドロイド、レヴィー・ラーの下僕たちを切り抜け、二人は、元凶のレヴィー・ラーに挑む。力の差に苦戦する京也だったがNYにいるライ老師が最期の気力を振り絞って命と引き換えに京也を助ける。
登場人物
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- 十六夜 京也(いざよい きょうや)
- 本作の主人公[3]。十六夜念法を使う少年。
- 羅摩 さやか(らま さやか)
- 地球連邦政府首席こずみの一人娘。
- ドクター・メフィスト
- 魔界医師の異名で呼ばれる医師。
- アグニ・ライ
- レヴィー・ラー、十六夜弦一郎、羅摩こずみの師。当世最大の霊能者。
- レヴィー・ラー
- 地球を魔界にしようと企む。
- 土鬼、水鬼、火鬼
- 魔界からレヴィー・ラーが呼び出した下僕。
- 山科局長
- 地球連邦政府日本支部局長。
- ^ 『ライトノベル完全読本』日経BP社、2004年8月1日発行、74頁。ISBN 4-8222-1704-3。
- ^ どちらの〈新宿〉でも「十六夜京也がレヴィ・ラーを倒して世界を救った」点は共通の事実として扱われている。しかし朝日ソノラマ版以外の作品でその事に言及されている箇所には、人物の名称など細部に曖昧な点が見られる。
- ^ 石井ぜんじ / 太田祥暉 / 松浦恵介『ライトノベルの新・潮流 黎明期→2021』スタンダーズ、2022年1月1日、27頁。ISBN 978-4-86636-536-7。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “魔界都市〈新宿〉”. allcinema. 2023年10月28日閲覧。
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