骨折 治療法

骨折

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/10 08:55 UTC 版)

治療法

固定の例。橈骨は螺子による内固定、第5中手骨はキルシュナーワイヤーによるピンニング固定

骨折の整復はできるだけ早期に行うべきである。腫脹が治るまで待つべきではない。開放創を感染のリスクを低く抑え、極力安全に縫合できるのは受傷後6時間から8時間以内(ゴールデンタイム)とされる。この時間は身体部位により変化し、顔面外傷の場合は24時間とされる。これ以上経過すると細菌の増殖による創感染の可能性が飛躍的に高まるが、必ずしもゴールデンタイムを経過した創が一次閉鎖できないわけではなく、あくまで感染リスクの目安として捉えるべきである。このあたりの感覚は生ものの扱いと同じである。

単純骨折で骨の転位がなければそのまま固定をし、骨の転位がある場合は徒手整復や牽引などの非観血的整復術や手術による観血的整復術によって正常なアライメントに戻し、一定期間固定して安静を保つ。非観血的整復術は接合が正常値にあるかどうか、レントゲンなどを利用して精度を増す。一方、複雑骨折では骨が表皮から飛び出すことで様々な細菌が存在する外界と交通してしまうため、感染症の阻止が最重点課題となる。傷口の念入りな洗浄消毒と汚染されて挫滅した組織の切除(デブリードマン)が受傷後直ちに行なわれるべきで、抗生物質の投与も積極的に行われる。骨癒合に要する期間は損傷部位や年齢に左右されるが、いずれの骨折も同じプロセスを踏んで修復される。ただし、感染症や不適切な治療により骨癒合が遷延したり癒合しなかったりするケースもある。

上肢の骨折の治療目標は手の機能の温存である。多少の変形や短縮は構わない。一方、下肢の骨折の治療目標は無痛で安定した荷重ができることである。短縮しないように変形を極力避ける。なお、入院して骨折の治療が始まったら、直ちにその他の四肢の運動を始めるべきであるとされている。

固定法

捻挫は一関節固定であるのに対し、骨折は二関節固定とされる。骨折で一関節固定をすると回内、回外運動が可能で整復できないことになる。

内固定
手術によって金属のプレートやワイヤー、ピン等の固定具によって骨を接合する方法。
外固定
ギプス副木SAMスプリント英語版等を用い、体の外側から、骨折部が動かないよう固定する方法。
上肢骨折
上肢の骨折の固定には副子の上に三角巾をすればよい。三角巾の上から体幹を含めてバストバンドをするという方法もある。
長管骨骨折
不安定な長管骨の骨折を副子に乗せる場合は骨折部の上下を牽引させて行う。基本的に骨折の場合は牽引することで軟部組織を傷つけることは少ない。ただし、周囲の場合は牽引すると軟部組織損傷を起こすことがある。また、開放骨折の場合は体外に出た骨片が体内に入り感染をおこすので、原則として牽引しない。
創外固定
手術によって骨折部周囲の骨にピンを串刺しにし、体外に出た部分を金属棒やレジン(樹脂)などで支持する方法。開放骨折などの際、損傷部への手術操作により感染リスクが高まる恐れのある時や粉砕骨折などに有用である。
経皮的鋼線固定
キルシュナーワイヤーなどを用いてX線透視下に皮膚の外から骨を串刺しにし、固定する(右上の画像参照)。

Gultの癒合日数においては、癒合中手骨で2週、肋骨で3週、鎖骨で4週、前腕骨で5週、上腕骨体部で6週、脛骨で7週、両下腿骨で8週、大腿骨で8週、大腿骨頚部で12週かかる。

ギプスを病院で巻かれた後で腫脹し、ひどく痛がる場合は循環障害を起こしていると考えられる。直ちに病院に受診し、ギプス、下巻きを切るべきである。骨折は基本的には体動時に痛いものであるが、安静時の激痛の持続は血管障害が考えられる。

牽引療法

骨折の整復のため、牽引療法(英語: traction treatment)が行なわれることがある。

直達牽引を行う場合は頻回の観察が必要である。大腿骨骨折では総腓骨神経麻痺を起こしやすい。下肢の骨折では足趾をそらせるのかを検査する必要がある。








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