非公務員化 非公務員化の効果

非公務員化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 09:00 UTC 版)

非公務員化の効果

日本郵政公社の民営化、社会保険庁全国健康保険協会日本年金機構への移行と、機構改革に付随して非公務員化が行われているが、独立行政法人については、後述するように、非公務員化自体が改革手法の一つとして考えられており、機構改革を伴わず、単独で措置されているケースが多い。

独立行政法人などを非公務員化すると、給与や手当、勤務時間、休暇等の設定が弾力的に行え、組織運営が柔軟になると評論もあるが、給与法や勤務時間法は上記の通り、すべての独立行政法人において適用外であるため、行政執行法人(公務員型)であっても給与や手当、勤務時間、休暇などは弾力的に行える。こうした非公務員化の効果の評論は、その多くが単にイメージで述べられているに過ぎず、的を射ていないものが多い。

非公務員化の法制上の効果は、公務員として制限されている規制が解除されることに伴って、

  • 職員は、政治的行為の制限が撤廃されること
  • 職員は、倫理法の対象外となり、私企業との接触が自由になること
  • 職員は、私企業の職を兼ねるなど、兼業することができるようになること
  • 職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、全力を挙げてこれに専念するという服務がなくなること
  • 職員は、国民全体の奉仕者の服務がないため、これにふさわしくない行為をもって懲戒免職とされることはなくなること
  • 職員は、ストライキなどの争議権を有すること
  • 使用者は、職員の任用が自由になること
  • 使用者は、職員の降任、休職、免職に公務員に適用される特殊な法令の制限がなくなること(一般の労働法の適用になる)

などの効果が発生する。使用者側の任免の自由度以外は組織運営には何ら関係なく、専ら職員の個人生活において自由度が増す効果といえる。

また、上記でみたように単に職員に一部適用されていた国家公務員法の規定が全て外れるに過ぎず、機構上の合理化策ではないことから、財政的には、非公務員化によって財政減となる要素は何らない。他方で、職員に適用する労働法制が一般化することになるため、

  • 職員に雇用保険が適用され、使用者側に雇用保険料の事業主負担が発生する
  • 職員に労災保険が適用され、使用者側に労災保険料の負担が発生する

ということから、必然的な財政増を伴うこととなる。また、職員にも雇用保険料の負担が発生し、職員の可処分所得は低くなるが、これを不利益とみて所得減分を補填した場合は、さらに財政増を伴う結果となる。

その他、採用方法についても、人事院が全省庁一括で行っている国家公務員採用試験が利用できなくなるため、独自に採用事務を行わなければならず、公平性を担保した場合(コネを排除した公募、競争試験等の実施)のコストが増加し財政増になる。







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