身体醜形障害 原因

身体醜形障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/07 06:14 UTC 版)

原因

原因としては、うつ病強迫性障害との関連が挙げられる。また自臭症などと並んで、統合失調症の前駆症状として現れる場合も多い。あるアメリカ人の研究者は「醜形恐怖は強迫性障害の仲間に入る」と述べている。また実際、醜形恐怖は脳内の神経伝達物質であるセロトニンを増加させる薬に反応するという報告がある。人とのコミュニケーションを上手く取れないため対人恐怖や劣等感に陥り、その感情を外見の劣等へ形を置き換える事で、無意識的にバランスを取っている側面もある。自己へ自己へと意識が集中しすぎ自身で、完璧なこうであらねば、という枠組みを形成してしまうのが根底にある。外界(他人)への意識を拡大させると共に、自分への美醜のこだわりより先に対人スキルを含む内面・精神に対する誤った認識の確認、再生、充実が結果的にこれらの強迫観念を解決させる一助になりえる。

  • マスメディアにおける時代の美醜の価値観も関連する。
  • 長期による深刻な悩みの末、自己同一性に欠ける問題もある。
  • 身体表現性障害と大まかに括れる事が出来る。
  • しばしば、ノイローゼ的になりパニック発作を起こす場合もある。
  • 強迫性障害からの視点では脳内伝達物質のセロトニンの異常と、眼窩皮質という箇所の異常だともいわれる。
  • 身体醜形障害はナルシシズムの病理であり、自己愛性パーソナリティ障害とも関連がある。理想の姿を追い求めることで、基底にある深い自己不信から逃れようとする。
  • 森田療法や暴露反応妨害法などが有効とされている。
  • 醜形恐怖は精神病というより元来持つ性格から発している部分が大きい、その際たるものが「完璧主義」である。醜形恐怖が難治といわれるのは、先天的あるいは、長年積み重なった性格・気質によるためでもある。
  • 最近のプチ整形を筆頭として美容整形の浸透が醜形恐怖を更に根深い問題とさせている。
  • 近年のIT化、それに加えてコロナを機に、仕事が在宅リモートを行うケースが増えており、これも醜形恐怖患者には恐怖と不安で多大なストレスとなる(zoomなどのWEB会議で自らの姿を直視する事が不可避なため)。このため、在宅勤務の選択権があるにも関わらず、出社勤務を余儀なくされ、無駄に出勤時間が奪われたりなどQOLを著しく低下させる。また、健常者でさえもコロナ以後のWEB会議で自らの姿と他の人が映し出される状態で苦悩し美容整形外科を訪れる「zoom異形症」というものがある有様である[5]
  • 上述の様に、強迫性障害と相関性が高く、大枠として強迫性障害の中の一症状として醜形恐怖という考え方もできる。そのため、基本的な治療アプローチは強迫性障害とほぼ同様である(美容整形などで外見をなんとかしよう。というアプローチは基本的にあまり有用ではない)。
  • 強迫性障害患者同様、性格的には几帳面、神経質、内向的、執着深い、執念深い、頑固、しつこい、くどい、こだわる、などの特徴がベースとなって発症しやすい。

  1. ^ a b 英国国立医療技術評価機構 2005, Introduction.
  2. ^ Bjornsson AS; Didie ER; Phillips KA (2010). “Body dysmorphic disorder”. Dialogues Clin Neurosci 12 (2): 221–32. PMC 3181960. PMID 20623926. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3181960/. 
  3. ^ Record China (2013年5月21日). “整形する人の自殺率は一般の人の45倍”. Record China. 2020年3月24日閲覧。
  4. ^ a b 英国国立医療技術評価機構 2005, Chapt.1.4.2.
  5. ^ Nast, Condé (2021年9月9日). “ヴィデオ会議で映る自分の見た目が気になる「Zoom異形症」が増加している”. WIRED.jp. 2023年10月17日閲覧。
  6. ^ a b c d e アレン・フランセス 2014, pp. 103–105.
  7. ^ a b c d e 英国国立医療技術評価機構 2005, Chapt.1.5.1.
  8. ^ a b c d 英国国立医療技術評価機構 2005, Chapt.1.5.3.
  9. ^ 矢島道、矢島新、松田英子「身体醜形障害と妄想性障害を合併した成人事例に対する認知行動療法:―自動思考記録表と週間活動記録表の活用―」『カウンセリング研究』第46巻第4号、2013年、214-225頁、doi:10.11544/cou.46.4_214NAID 130005132071 
  10. ^ 大塚明子「曝露反応妨害法が奏功した身体醜形障害を伴う強迫性障害の一治療例(実践研究,<特集>社会福祉と行動療法)」『行動療法研究』第29巻第2号、2003年9月30日、171-181頁、NAID 110009668021 
  11. ^ a b c d 川上正憲、中村敬、中山和彦「アトピー性皮膚炎に身体醜形障害を併存する1例をめぐる考察 : 皮膚症状への"とらわれ"に対する外来森田療法」『心身医学』第55巻第4号、2015年、359-366頁、doi:10.15064/jjpm.55.4_359NAID 110009923721 
  12. ^ 大倉 朱美子・高橋 進・山本 浩・森田 千尋・東谷 明子 (2001). “身体醜形障害の青年期女子症例の治療経過”. 心身医学 41: 564. 
  13. ^ 『認知行動療法事典』丸善、2019年、109頁。 
  14. ^ 『認知行動療法事典』丸善、2019年、371頁。 
  15. ^ 鍋田 2011, pp. 182–184.
  16. ^ 鍋田 2011, pp. 182–183.
  17. ^ 鍋田 2011, pp. 182, 211–212, 214–215, 219–220, 222.
  18. ^ 『醜形恐怖症―自分の容姿が許せないあなたに寄り添う本―』河出書房新社、2022年、110-111頁。 





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