船員保険
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 02:43 UTC 版)
被保険者
船員法第1条に規定する船員(船長、海員、予備船員)として船舶所有者に使用される者(下記の船舶に乗り込む者)を被保険者(強制被保険者)とする。船員として船舶所有者に使用されるに至った日から、被保険者の資格を取得する(第11条)。新たに被保険者の資格を取得・喪失した者があるときは、当該事実があった日から10日以内に厚生労働大臣(届出の提出先は日本年金機構[3])に届け出なければならない(第24条、施行規則第4条)。
- 船舶法に定める日本船舶
- 日本船舶以外の船舶で、日本人若しくは日本法人が借り入れ、又は外国の港まで航海を請け負った船舶、日本政府が配乗を行っている船舶等
厚生労働大臣は、被保険者の資格の得喪の確認又は標準報酬の決定若しくは改定を行ったときは、その旨を船舶所有者に通知しなければならない(第25条)。
船舶所有者に使用されなくなったため、被保険者の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者であった者は、協会に申出て、継続して被保険者になることができる(疾病任意継続被保険者)。この申出は被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならない(第13条)。健康保険でいう任意継続被保険者に相当し、内容もほぼ任意継続被保険者と共通する。
船員保険の被保険者は、死亡した日、又は船員として船舶所有者に使用されなくなるに至った日の翌日(その事実があった日に更に被保険者の資格を取得するに至ったときは、その日)に被保険者資格を喪失する(第12条)。なお健康保険や国民健康保険のように75歳に達しても、被保険者(疾病任意継続被保険者を除く)の資格を喪失しない(75歳以降は、後期高齢者医療制度から保険給付し、それで給付されない部分について船員保険から給付する。つまり二重に加入することになる。例えば傷病手当金は一般的に後期高齢者医療制度では給付されないので、船員保険から給付される。)。
被扶養者の認定は、健康保険における取扱いと同様である(第2条9項)。健康保険#被扶養者も参照。
被保険者に係る届出
船舶所有者や被保険者資格(疾病任意継続被保険者を除く)に関する届出については、基本的に厚生年金とセットになっているため、日本年金機構(実際は各船舶所有者の所在地を管轄する年金事務所)に行わなければならない。一方、被保険者証再発行、船員保険の給付関係及び疾病任意継続被保険者に関する届出については、船舶所有者の所在地や疾病任意継続被保険者の住所地がどこであったとしても、東京にある協会の船員保険部に行わなければならない(原則郵送申請。協会の各都道府県支部では船員保険事務を取り扱っていない)。
- ^ 平成28年度 国民医療費の概況 (Report). 厚生労働省. (2018-09-21) .
- ^ 船員労働について定めたILO第55・56号条約を日本は批准していないが、第147号条約を批准したことにより、第55・56号条約についても国内法令と実質的に同等であることが確認されている。
- ^ 通常、船員保険の被保険者は同時に厚生年金の被保険者となり、船員を使用する船舶は同時に厚生年金の適用事業所となる。
- ^ 健康保険でいう「埋葬料」「家族埋葬料」は船員保険では「葬祭料」「家族葬祭料」という。
船員保険と同じ種類の言葉
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