羽田空港新飛行経路 (南風運用)
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運用開始まで
羽田空港の発着枠増加の検討
羽田空港は近隣に住宅地が密集しており、騒音対策の観点から着陸・離陸経路が限られていた。中でも、南風時の着陸はB滑走路(22)・D滑走路(23)に限られ、横風の状態で運用していた。強い南風の際にはC滑走路(16L)の着陸経路がある[2]が、着陸直前に180度の急旋回がある[3]こと・飛行経路直下にクレーンや風力発電用の風車等があり降下下限が設定されていること[4]など非常に高度な飛行技術を要する[5]ことから、航空会社によってはこの運用を禁止している[要出典]。さらに、従来の運用だとA滑走路(16R/34L)とB滑走路(04/22)が交差している影響から1時間当たりの発着回数が最大84回となっていた。しかし、年々訪日外国人観光客が増えさらに2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、羽田空港の発着枠増加が国内外から求められていた。2016年国土交通省は東京オリンピック・パラリンピック開催までに羽田空港の国際線発着枠を年6万回から1.7倍の年9万9000回に増やすことを検討。2018年に入り、住民説明会が都心や埼玉県・千葉県で開催されるなど、着々と準備が進められてきた[6]。
横田空域問題の克服
元々東京周辺上空は、羽田空港、成田国際空港(成田空港)そして横田飛行場(横田基地)の管制空域が複雑に入り乱れている。新ルートの設定にあたっては、特に羽田空港の西方面上空の米軍管轄の広大な横田空域が阻害要因となっており、一部空域の返還を巡って日米両国で交渉が行われた。当初、軍用機の運用に支障が出かねないとしてアメリカ軍側は難色を示したが、日本側が「新ルートを設定できなければ、オリンピックの運営に支障が出かねない」と理解を求めた結果、2019年1月末に合意に達した[7][8][9]。
注釈
出典
- ^ イカロス出版 (2020). “エアライン”. 月刊エアライン 2月号: 42~45.
- ^ JP-AD-2.24.52-RJTT-en-JP.pdf. 国土交通省. pp. 1[要文献特定詳細情報]
- ^ (英語) AD-2-RJTT(TOKYO INTL). AIP Japan. 国土交通省. (2020-02-27). p. 65
- ^ JP-AD-2.24.57-RJTT-en-JP.pdf. 国土交通省. pp. 1[要文献特定詳細情報]
- ^ “羽田空港かつての名物"羽田カーブ"とは 低空急旋回で着陸 (乗りものニュース)”. 乗り物ニュース. 株式会社メディア・ヴァーグ (2019年11月21日). 2021年7月11日閲覧。
- ^ a b “羽田空港の発着枠拡大のための都心上空の飛行と空港の運用問題”. 航空政策・提言. 航空労組連絡会 (2016年). 2021年2月14日閲覧。
- ^ 増田剛 (2019年4月3日). “「羽田国際線増便と横田空域」(キャッチ!ワールドアイ)”. 解説委員室ブログ. 日本放送協会. 2021年2月14日閲覧。
- ^ “U.S. Department of Defense” (英語). アメリカ国防総省. 2021年2月14日閲覧。[要文献特定詳細情報]
- ^ (英語) AD-2-RJTT(TOKYO INTL). AIP Japan. 国土交通省. (2020-02-27). pp. 27,28
- ^ 一部AIP JAPANを参考
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “羽田空港のこれから - 国土交通省”. 羽田空港のこれから - 国土交通省. 2021年2月14日閲覧。
- ^ JP-AD-2.24.79-RJTT-en-JP.pdf. 国土交通省. (5月12日). pp. 1[要文献特定詳細情報]
- ^ a b c d e f g h i j k JP-AD-2.24.2-RJTT-en-JP.pdf. 国土交通省. (1月). pp. 1[要文献特定詳細情報]
- ^ “羽田空港のこれから - 国土交通省”. 羽田空港のこれから - 国土交通省. 2021年7月11日閲覧。[要文献特定詳細情報]
- ^ “羽田空港新飛行ルート実機飛行確認時のデルタ航空社、エアカナダ機の対応に関する質問主意書”. www.shugiin.go.jp. 2021年7月11日閲覧。
- ^ “衆議院議員松原仁君提出羽田空港新飛行ルート実機飛行確認時のデルタ航空社、エアカナダ機の対応に関する質問に対する答弁書”. www.shugiin.go.jp. 2021年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e “環境に対する影響を軽減する方策”. 国土交通省. 2021年2月15日閲覧。
- ^ “羽田新ルート訴訟 「部品落下なら火の海に」第一回口頭弁論 国は争う姿勢:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web (2020年9月29日). 2021年4月5日閲覧。
- ^ “2020.4.1~9.30の部品欠落報告について”. 羽田空港のこれから. 新飛行経路 定期運用報告/騒音測定結果・航跡. 国土交通省 (2021年1月6日). 2021年7月12日閲覧。
- ^ “航空:第1回 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会 - 国土交通省”. www.mlit.go.jp. 2021年2月15日閲覧。
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