産業廃棄物 日本の廃棄物の量

産業廃棄物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 10:22 UTC 版)

日本の廃棄物の量

総排出量

環境省によれば、1995年度(平成7年度)以降、4億トン前後で推移している。但し、リサイクルや廃棄物を燃やして減量化する等した上での、最終処分量は約913万トンであり、年々減少傾向にある[1]

  • 2003年(平成15年) 4億1,200万トン
  • 2004年(平成16年) 4億1,700万トン
  • 2005年(平成17年) 4億2,200万トン
  • 2006年(平成18年) 4億1,800万トン
  • 2007年(平成19年) 4億1,900万トン
  • 2008年(平成20年) 4億400万トン
  • 2009年(平成21年) 3億9,000万トン
  • 2010年(平成22年) 3億8,600万トン
  • 2011年(平成23年) 3億8,100万トン
  • 2012年(平成24年) 3億7,900万トン
  • 2013年(平成25年) 3億8,500万トン
  • 2014年(平成26年) 3億9,300万トン
  • 2015年(平成27年) 3億9,100万トン
  • 2016年(平成28年) 3億8,700万トン
  • 2017年(平成29年) 3億8,400万トン
  • 2018年 (平成30年) 3億7,883万トン

種類別上位3品目

総排出量の約8割を占める。平成30年[2]

  • 汚泥 44.2%(排出量:約1億6,738万t)
  • 動物のふん尿 21.3%(排出量:約8,051万t)
  • がれき類 14.9%(排出量:約5,628万t)

不法投棄問題

いくつかの社会的な背景がある。

  • 産業廃棄物の排出量と比較して、同一県内にある産業廃棄物の処分場が慢性的に不足。
  • 処理技術の向上による処理費用の増加。
  • トラック輸送の低価格化による燃料費削減を目的とする不正軽油の利用により、その密造に伴う有害廃棄物の発生。

このような背景の中、法令等に定められた処理・処分をせず、不法投棄不適正保管をする排出事業者や処理・処分業者が後を絶たない。その件数は、量の少ない物を含め、1年に1000件を越えるといわれる。不法投棄地では、水質汚濁土壌汚染などの環境汚染が起こっている。

有名な不法投棄として、「香川県豊島の不法投棄事案(豊島事件)」、「青森県・岩手県の県境産廃不法投棄事案」、「埼玉県朝霞市上内間木新河岸川河川敷PCBドラム缶不法投棄事案[3][4]などがある。

産業廃棄物の不法投棄の対策を促進するため、2003年度から10年間の時限法である産廃特措法(特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法)が制定された。その後、2012年の改正[5]で存続期限が10年延長され、現在の期限[6]2023年3月31日までである。

産業廃棄物の処理責任

排出者責任の原則

事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」3条)と定める「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、産業廃棄物は、排出者に処理責任がある。これを一般的に「排出者責任」または「排出事業者責任」という。即ち自ら処理する(自己処理)を原則とし、都道府県知事の「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処理業」の許可を受けた業者に処理を委託することができるとしている。ただし、産廃業者に委託する場合は、排出者の責任において、法定の事項を盛り込んだ委託契約を書面で締結するとともに、処理完了を確認するための処理伝票(マニフェスト)を発行回収照合しなければならない。

建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外

建設工事(請負工事)で生ずる産業廃棄物の排出者は、元請事業者(発注者から直接工事を請負った者)となり処理責任が発生する。(法第21条の3
なお、建設工事にはさまざまな発注形態があり、下記のように処理責任が紛らわしいケースも発生するので注意が必要である。

  • 商社や管理会社等が介在するケース

発注者が商社や管理会社等(ビルマネジメント会社、プラント運営会社、ビルメンテナンス会社など)を介して建設業者に工事を発注するケースである。この場合は商社や管理会社等が元請、建設業者は下請とみなされる[7]。よって処理責任は商社や管理会社等にあり、建設業者にはない。このケースでは商社や管理会社等が法令に精通していない場合に処理責任を巡ってトラブルが発生することがあるので注意が必要である。[8]

  • テナント工事があるケース

ショッピングセンタービルなどでオーナーテナントが個別に工事を発注するケースである。この場合はオーナーから工事を直接請負った建設業者だけではなく、テナントから工事を直接請負った建設業者にもそれぞれ別個に処理責任が発生することになる。このケースではオーナーやテナントが法令に精通していない場合に処理責任を巡ってトラブルが発生することがあるので注意が必要である。[8]

  • 分離発注のケース

発注者が建築工事管工事電気工事等を個別に発注するケースである。この場合は建築工事業者だけでなく、管工事業者や電気工事業者等も直接工事を請負っているためそれぞれ別個に処理責任が発生する。このケースは分離発注のほとんどが公共工事であり、発注者側も各請負者側も法令に精通していることから、処理責任を巡ってトラブルが発生することは稀である。[8]

排出者責任の限度

受託処理業者の不適正処理により不法投棄などが起こった場合に、排出者がどこまで責任を負うかが問題となる。実際の事件では、廃棄物の内容を確認することによって排出者を特定することはできても直接の投棄者が特定できなかったり、処理業者に資力がなく撤去費用の負担などを負いきれなかったりすることが多いからである。都道府県の産業廃棄物担当部局は、排出者の管理状態などを精査し、問題があれば「排出者として責任あり」として、撤去費用などの負担を求めるが、中には排出者の管理に問題がなくても「当然の排出者責任」として、排出者に負担を求めてくることもある。

しかし大原則として、特に定めのない限り、過失がない者には民事上の責任は発生しない。(b:民法第709条「過失責任の原則」)

産業廃棄物においては、3条の解釈として、特に定めのある場合(無過失責任[9])に該当するかが問題となる。小池百合子環境大臣(2005年当時)は、国会(2005年の衆院環境委員会)における答弁では、無過失責任は採用していないという前提に立ち、「(排出者に)予見不可能な負担を負わせ、経済活動を不当に制約するおそれもある」と、今後の導入についても否定的な見解を示している。

即ち、環境省の解釈によれば「過失責任の原則」が適用されるため、排出者に過失がないと認められる場合は、不法投棄などがあった場合でも、排出者が民事上の法的責任を負う根拠は存在しないとされる。あくまで自主的な判断で負担すべきものと考えられる。今後の司法判断にも注目される。


  1. ^ 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度実績)について”. 環境省. 2021年8月15日閲覧。
  2. ^ 環境省 (2020-01-23) (PDF). 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度実績)について (Report). https://www.env.go.jp/press/107628.html 2020年12月13日閲覧。. 
  3. ^ 新河岸川産業廃棄物処理対策 -埼玉県
  4. ^ “報道記事”(1990年11月9日)(1990年11月23日) -朝日新聞
  5. ^ 平成24年8月22日法律第58号
  6. ^ 附則第2項
  7. ^ 建設業の許可の有無や、実際に設計施工・施工管理等をするかは問わない。
  8. ^ a b c 出典:一般財団法人全国建設研修センター監理技術者必携-令和2年版監理技術者講習テキスト」p.270-271
  9. ^ 無過失責任とは、「損害が発生した場合には、故意または過失がなくても賠償責任を負うという原則」。水質汚濁防止法大気汚染防止法にその規定がある。
  10. ^ 読売新聞2011年2月8日夕刊・関東地域3版12面、飯塚の産廃撤去訴訟、福岡県が上告へ(2011年2月22日)


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