現行犯 要件

現行犯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/28 06:29 UTC 版)

要件

現行犯

現行犯は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」(刑事訴訟法212条1項)であるから犯罪が特定されていることを要する[5]。ただし、現行犯人は一般私人でも逮捕できることから(刑事訴訟法213条)、正確な擬律判断(いかなる刑罰法規の構成要件に該当するかの判断)まで求められるわけではない[5]

なお、逮捕の必要性は、本来は逮捕状による逮捕を可能とする要件(刑事訴訟規則143条の3参照)であるが、現行犯逮捕にもこの要件が必要であると考えるのが学説の多数である(裁判例には、必要とするものと不要とするものとがある)。

準現行犯

刑事訴訟法212条2項は、一定の条件に当てはまる者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合に定める場合には現行犯人とみなすとしているが、同条1項の現行犯と区別するために準現行犯と呼ばれている[6]

具体的には以下の事由に該当する者が、特定の罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合である。

  1. 犯人として追呼されているとき。
    追呼は、犯人として追われているか犯人として呼びかけられている状態をいう[7]。目撃者の車両によって追跡する場合(昭和46年10月27日東京高等裁判所判決刑裁月報3巻10号1331頁)などのほか、後を追いかける状況になくても他の者と紛れないようにする手段をとっていればこれにあたる[8]
  2. 贓物ぞうぶつ又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
    「贓物」は財産罪で不法に領得された財物のことをいう[9]。「所持」は現に身につけて携帯しているかそれに準じる事実上の支配下にある状態をいう[9]
  3. 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
  4. 誰何すいかされて逃走しようとするとき。
    又、制服警察官を見て逃げ出したような場合(昭和42年9月13日最高裁決定刑集21巻7号904頁)がこれにあたる[10]

なお、現行犯の場合と同じく「罪」は特定されていることを要する(何らかの犯罪に関係していると疑われることで足りる警察官職務執行法2条とは異なる)[11]

逮捕権者

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる(刑事訴訟法213条)。現行犯では捜査機関以外の一般私人にも逮捕権がある[12]。「現行犯人」には準現行犯人を含む[12]








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