檜扇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/30 08:45 UTC 版)
現代の檜扇
現代は皇族でも、平安装束を身に着ける機会は重要な儀式に限られている。以下はその例。
- 皇后
- 即位の礼では、表に金箔押しの雲に桐と鳳凰の絵、裏は同じく金箔の雲に鳥や蝶の舞う絵。立太子の礼などの重儀にも使用。
- 皇太子妃
- 結婚の儀と即位礼に使用。即位の礼の皇后と同じ。
- 皇族妃
- 結婚の儀と即位礼に使用。松に群青と朱の二羽の尾長鳥(尾の長い美しい鳥。鶏ではない)の絵を描くほかは皇太子妃と同じ。
大正大礼に先立ち新たに皇后・皇族・臣下の区別の明確化が図られた。以下の資料はそのときのものである。
『大礼用女装服制調書』 大正四年 (宮内庁蔵)
檜扇皇后宮 白地三十九橋。金泥ノ霞、桐竹鳳凰ノ彩色繪。裏面蝶鳥。要ハ金鍍蝶鳥彫。紅梅ノ造花。六色飾糸蜷結付。
皇后宮帛御服御料 白無地三十九橋。要銀蝶鳥形。 《※蜷飾の記述を落としている》 親王妃・内親王・王妃・女王 白地三十九橋。金銀泥ノ霞、松ニ尾長鳥ノ彩色繪。裏以下皇后宮ニ同シ。
女官 白地三十八橋。金銀泥霞、紅梅ノ彩色繪。裏以下上ニ同シ。
『皇后宮御服以下調査標準』 大正四年 (宮内庁蔵)
「以上各服飾調書ハ河村宮内次官ヨリ香川皇后宮大夫ヲ經テ、皇后陛下ニ奉呈シ、因テ御治定ノ御沙汰相成タリ。 」第四決定書
皇后宮御檜扇 三十九橋 長一尺三寸 巾上端一寸三分 皇族御女子《ママ》御檜扇 三十九橋 長一尺ニ寸五分 巾上端一寸三分
女官檜扇 三十八橋 長一尺二寸 巾 々一寸二分 右大正四年四月二日決定 」
なお大正大礼より前の女子皇族の婚礼用の檜扇は紅梅・竹・流水の山科流の定番の図の檜扇であった。松に尾長鳥は新制である。女子皇族や華族・高官の夫人が用いた袿袴については、華族・高官夫人は礼服のときは檜扇、通常服のときは雪洞という紙扇を用いたが、女子皇族や宮中の女官は礼服であっても雪洞であったことが大正・昭和大礼の資料から知られる。袿袴の時の檜扇の詳細な仕様は決められていなかったが、遺品によるかぎりほとんどが先に述べた山科流定番の図様である。
糸花については、皇族用は紅・薄紅・白の梅と松 女官のものは紅白梅と松が遺品でみられる。高倉流の橘を加えたものは即位の大礼では用いられなかった。
なおこれらの絵柄は大正天皇の即位礼に際して定められたもの。ただし婚礼には松梅鶴なども使用した。
この他、内親王の着袴の儀においても、袿袴姿に衵扇を手にした姿の写真が公開される場合がある。
- 神職
神職が使用する檜扇は男性用は「檜製二十五橋」のものが主流となっている[1]。女性神職も儀式などで檜扇を使用する。「十六橋無彩色白紐付」「十六橋胡粉塗色彩絵六色紐付」などを用いる[2]。
檜扇と同じ種類の言葉
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