札幌市交通局9000形電車 概要

札幌市交通局9000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/15 13:27 UTC 版)

概要

東豊線開業当初から営業運転されている7000形の老朽化に伴い、車両更新と将来の可動式ホーム柵設置やワンマン運転を見据えて落成した。札幌市営地下鉄では1998年にデビューした東西線8000形以来、17年ぶりの新形式車両である。また、東豊線の新型車両は、1994年(平成6年)8月の7000形第18~20編成以来となる。2014年12月に第1編成が川崎重工業で製造され、2015年5月8日に営業運転を開始した[1]。札幌市における少子高齢化社会の到来や環境・省エネルギー問題などの社会情勢の変化を踏まえ、これまでの車両をベースにした「人と環境にやさしい地下鉄」が当形式のコンセプトである。車番の百位は7000形を踏襲した。

導入への経緯

南北線・東西線での可動式ホーム柵設置・ワンマン運転開始が完了し、唯一残った東豊線への可動式ホーム柵設置を見据えた車両の更新のため、2014年から2016年にかけて川崎重工業において新形式車両として当該車両を4両編成20本・計80両新製・導入する計画で[2]、2014年10月31日札幌市交通局のホームページにおいて9000形の外観が公開された[3][4]。第1編成の東車両基地への搬入は2014年12月15日に行われ[5]、以降は試運転を経て2015年4月28日に運行開始される予定であった[6][7][8]が延期され、同年5月8日に決定、栄町駅から運行を開始した[9][10]。その後、7000形を随時置き換えし、2016年9月6日をもって全編成の導入が完了した。

運用開始日

  • 第1編成:2015年5月8日(7000形第2編成を置き換え)
  • 第2編成:2015年5月29日(7000形第8編成を置き換え)
  • 第3編成:2015年6月2日(7000形第20編成を置き換え)
  • 第4編成:2015年6月9日(7000形第13編成を置き換え)
  • 第5編成:2015年7月1日(7000形第17編成を置き換え)
  • 第6編成:2015年7月14日(7000形第10編成を置き換え)
  • 第7編成:2015年8月12日(7000形第18編成を置き換え)
  • 第8編成:2015年9月15日(7000形第3編成を置き換え)
  • 第9編成:2015年10月8日(7000形第19編成を置き換え)
  • 第10編成:2015年11月6日(7000形第11編成を置き換え)
  • 第11編成:2015年12月8日(7000形第16編成を置き換え)
  • 第12編成:2016年1月11日(7000形第1編成を置き換え)
  • 第13編成:2016年2月10日(7000形第12編成を置き換え)
  • 第14編成:2016年3月7日(7000形第6編成を置き換え)
  • 第15編成:2016年4月6日(7000形第5編成を置き換え)
  • 第16編成:2016年5月11日(7000形第9編成を置き換え)
  • 第17編成:2016年6月3日(7000形第15編成を置き換え)
  • 第18編成:2016年6月25日(7000形第7編成を置き換え)
  • 第19編成:2016年7月29日(7000形第14編成を置き換え)
  • 第20編成:2016年9月6日(7000形第4編成を置き換え)

車体

外観のコンセプトを「爽やかでシンプルなデザインとし、親しみがもてる外観」とし、そのコンセプトに基づいたデザイン案について、札幌市立大学デザイン学部の学生と交通局の若手職員とで意見交換会が行われて印象の評価や改良点の意見を出し合った結果、利用者に親近感を持ってもらえるよう白を基調としたシンプルな形状とされた。

  • 現在の札幌市営地下鉄のコンセプトカラーである白い車体に、ドア部分をラインカラーであるスカイブルーに塗装したことで札幌の空の広がりや気候風土をイメージしたものとなっている。
  • 正面は従来の札幌市営地下鉄を踏襲した左寄りの貫通路を要しており、スカイブルーに塗装された部分にSTマークが入っている[11]。行先表示器は南北線5000形・東西線8000形と同様のLEDによる行先表示(日本語のみ)と、運用番号が表示される。車番は右下に表示されている。前照灯周りは角度を持たせ、7000形とは逆に尾灯が上、前照灯が下になっておりLEDを採用している。連結部付近の排障器もスカイブルーで塗装されている。
  • 乗務員室の運転台機器についてはワンハンドルが採用され、3つのモニター(メーター表示器、ホーム監視モニター、車上検査モニター)を配置し、メーターと車上検査モニターは故障時に相互バックアップ可能な機能を有している。
  • 車体側面には、札幌市営地下鉄では初めてとなる側面行先表示器が車体中央扉の左上付近に設置され、行先が日本語と英語で表示される。
  • 側面の車番表記は従来車を踏襲した客室窓の下部に加えて、南北線3000形以来となる車体上部にもプレート表記を行っており、フォントもこれまでとは違うものが採用されている。
  • 連結部には転落防止の外幌が設置されている。
  • 製造コストの削減を図るため、台車は6000形7000形電車の廃車発生品を再利用[12]している。
  • 集電装置は札幌市営地下鉄では初となるシングルアームパンタグラフを採用し、9200形・9300形に各1基ずつ設置されている。

  1. ^ 営業運転の開始について - 札幌市交通局
  2. ^ 札幌市交通局向け地下鉄電車を受注 - 川崎重工業(2013年5月22日配信) 2013年5月25日閲覧
  3. ^ 東豊線新型車両について - 札幌市交通局(2014年10月31日配信)
  4. ^ なお、2013年に札幌市が公開した「案内軌条式鉄道車両9000形」の入札関連書類の設計図では、8000形と同様のデザインであった
  5. ^ 地下鉄東豊線、新型車両が完成 ホーム柵対応、来年4月運転開始 - 北海道新聞(2014年12月16日配信)
  6. ^ 札幌市東豊線の新型車両、来年4月から運転開始 - Response(2014年11月4日配信)
  7. ^ 地下鉄東豊線に新型車両「9000形」 来年4月下旬から営業運転 - 北海道新聞(2014年11月7日配信)
  8. ^ 札幌市営地下鉄東豊線用9000形公開。 - 鉄道ホビダス 編集長敬白(2015年3月19日配信)
  9. ^ 東豊線新型車両「9000形」の営業開始について (PDF) - 札幌市交通局(2015年5月1日配信)
  10. ^ 札幌市地下鉄17年ぶりの新車「9000形」が東豊線にデビュー - レスポンス、2015年5月8日
  11. ^ 「STマーク」は東豊線の車両では初めて銀色。
  12. ^ タウン情報誌ウィズユー 冬号(通巻91号) - 札幌市交通事業振興公社発行「ウィズユー」2014年冬号 12頁
  13. ^ 南北線5000形18編成以降に採用されたLCDモニターと異なり、9000形のディスプレイの駅名表示は漢字→ひらがな→ローマ字→…を回転させながらアニメーションのような表示をする(さっぽろ駅はひらがな表記のため、ひらがなで表示される時間が長い)。これは東京地下鉄16000系や8000系更新車、名古屋市営地下鉄鶴舞線N3000形、大阪市営地下鉄御堂筋線30000系などと同様で、三菱電機が開発したIPコア「セサミクロ」によるものである。
  14. ^ 他都市の例としては大阪市営地下鉄千日前線25系、阪急電鉄1000系などでドア動作時以外での点滅方式を採用している。
  15. ^ バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)全体版 (PDF) - 国土交通省
  16. ^ そのため、国土交通省 バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)28ページで明記された「視覚障害者が円滑に乗降できるように、戸の位置及び戸の開閉が車内及び車外の乗降位置から分かるようなチャイムを戸の内側上部等に設置し、戸の開閉動作に合わせてチャイム音を鳴動させる」基準を満たしていない。
  17. ^ 国土交通省 バリアフリー整備ガイドライン(車両等編)22ページには「視覚障害者等のために、ドアが開いていることを示すための音声案内装置(音声等により常時「開」状態を案内するもの)を設けることが望ましい。」と記されている
  18. ^ 地下鉄東豊線ラッピング車両「ファイターズ号」のリニューアル&運行開始について - 札幌市交通局(2016年3月15日配信)
  19. ^ 東豊線ラッピング車両「ファイターズ号」は運行を終了しました - 札幌市交通局(2023年2月7日配信)





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