木 構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 09:17 UTC 版)

構造

イチイの幹の断面。外側の色が薄い部分が「辺材」、内側の色が濃い部分が「心材」である。

木の基本的な構造は、草とそれほど変わるものではない(上述)。すなわち光合成を行いを生産すると、地中深くに伸びて養分と水を吸収する、そしてその二つをつなぎ養分や水を送る構造を持つ硬いをもち、そこから幾本ものを伸ばす。幹は木質化し、次第に太く成長する。幹の最も外側には外樹皮があり、これが木の表面を覆っている。そのすぐ内側にある内樹皮は師部とも呼ばれ、葉で生産された養分を根や木全体へと運んでいる。その内側には形成層が存在し、ここで行われる細胞分裂によって木は年々太くなっていく。形成層の内側は木部となり、基本的には死んだ細胞によって構成されるが一部生きた細胞も存在する[13]。木部は外側の辺材と内側の心材とに大別され、辺材部分において根から吸収された水分を木全体へと輸送している。ただしこの輸送は辺材全体で行われるのではなく、そのほとんどがもっとも外側の辺材(最新の年輪)の部分によって行われる[14]。また、年輪において色の薄く幅広い部分は早材と呼ばれ夏季に成長した部分、色が濃く狭い部分は晩材と呼ばれ冬季に成長した部分である。早材の部分は主に水を通し、晩材の部分は通水よりも木全体の強度の増進に役だっている[15]。辺材はやがて内側から徐々に心材へと変化していく。心材部分において通水は行われず、木全体を支える役割を果たすことになる。

枝の先にはを付け、を咲かせ、主に種子をもって繁殖する。

土壌では、樹木に限らず多くの植物の根が真菌菌糸と接続している。木は真菌からリンなどのミネラルを獲得し、一方、真菌は木から光合成炭水化物生成物を得る。菌糸は異なる樹木を結ぶことができ、ネットワークが形成され、ある場所から別の場所へ栄養素およびシグナルを伝達する[16]


  1. ^ a b c d e f g 平凡社『世界大百科事典』vol.6:「き 木」岩槻邦男執筆箇所(p.528)
  2. ^ a b c 「き【木・樹】」『広辞苑』第五版 p.620
  3. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.52
  4. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.57
  5. ^ 尾池和夫 (2007年4月6日). “京都大学-大学の紹介/総長室 2007年4月6日 大学院入学式 式辞”. 2008年4月9日閲覧。
  6. ^ ピーター・トーマス『樹木学』(築地書館 2001年7月30日初版発行)p.38
  7. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.53
  8. ^ 関岡東生監修『図解 知識ゼロからの林業入門』(家の光協会 2016年11月1日第1版発行)p.56
  9. ^ ピーター・トーマス『樹木学』(築地書館 2001年7月30日初版発行)p.27
  10. ^ ピーター・トーマス『樹木学』(築地書館 2001年7月30日初版発行)p.28
  11. ^ 堀大才『絵でわかる樹木の知識』(講談社 2012年6月20日第1刷発行)p.55
  12. ^ ピーター・トーマス『樹木学』(築地書館 2001年7月30日初版発行)pp.28-29
  13. ^ ピーター・トーマス『樹木学』(築地書館 2001年7月30日初版発行)pp.34-35
  14. ^ 堀大才『絵でわかる樹木の知識』(講談社 2012年6月20日第1刷発行)p.6
  15. ^ 堀大才『絵でわかる樹木の知識』(講談社 2012年6月20日第1刷発行)p.42
  16. ^ Heijden, Marcel G. A. van der (2016-04-15). “Underground networking” (英語). Science 352 (6283): 290–291. doi:10.1126/science.aaf4694. ISSN 0036-8075. PMID 27081054. http://science.sciencemag.org/content/352/6283/290. 
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 平凡社『世界大百科事典』vol.6:【き 木】の飯島吉晴および濱谷稔夫執筆箇所(pp.528-529)
  18. ^ 浅井治海『森と樹木と人間の物語: ヨーロッパなどに伝わる民話・神話を集めて』(フロンティア出版、2006年)p.42
  19. ^ 「登山の誕生」p80 中公新書 小泉武栄 2001年6月25日発行
  20. ^ a b NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.77
  21. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.26
  22. ^ 「世界の森林を守るために 3」環境省(2017年5月27日閲覧)
  23. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)pp.79-80 
  24. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)pp.29-30
  25. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.45
  26. ^ 前田秀一『トコトンやさしい紙と印刷の本』(今日からモノ知りシリーズ・日刊工業新聞社 2018年12月19日初版1刷発行)pp.10-15
  27. ^ ルイス・ダートネル著 東郷えりか訳『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』(河出書房新社 2015年6月30日初版発行)pp.128-131
  28. ^ ヘレン&ウィリアム・バイナム著 栗山節子訳『ビジュアル版 世界有用植物誌 人類の暮らしを変えた驚異の植物』(柊風舎 2015年9月22日第1刷)pp.156-159
  29. ^ 漆とは 香川県漆芸研究所(2020年12月10日)2022年7月20日閲覧
  30. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)pp.16-17
  31. ^ NPO法人共存の森ネットワーク企画 鈴木京子・赤堀楠雄・浜田久美子著『基礎から学ぶ 森と木と人の暮らし』(農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷)p.78
  32. ^ 世界初の「木のお酒」?香りと味わいは 森林総研が開発 朝日新聞
  33. ^ 石毛直道『世界の食べもの 食の文化地理』(講談社学術文庫 2013年5月9日第1刷)pp.114-115
  34. ^ 「木粉混ぜ込んだパウンドケーキ」産経新聞』朝刊2022年9月4日(生活面)2022年9月10日閲覧
  35. ^ [1]
  36. ^ 登山者の「過剰」な目印?ピンクの塗料が樹木や岩に…「憤り感じた」”. 朝日新聞デジタル. 2022年2月28日閲覧。
  37. ^ ど~なの?DJ”. www.tbc-sendai.co.jp. 東北放送. 2022年2月28日閲覧。
  38. ^ 『PEAKS』2021年2月号 No.135 p.57
  39. ^ 福岡義隆 編『植物気候学』(古今書院 2010年3月10日初版第1刷発行)p.23
  40. ^ 「斉藤一雄・田端貞寿編著『緑の環境デザイン 庭から国立公園まで』(日本放送出版協会 昭和60年4月20日第1刷発行)pp.38-42
  41. ^ 地球温暖化防止に向けて 林野庁(2017年7月15日閲覧)
  42. ^ よくある質問 林野庁(2020年4月13日閲覧)



木曜日

( から転送)

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木曜日(もくようび)または木曜(もくよう)は、水曜日金曜日の間にあるの1日。








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