映画 映画産業

映画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/23 16:39 UTC 版)

映画産業

映画産業は、アメリカでは「不況に強い」産業となっている[6]。また、ビデオDVDの普及、ファイル共有ソフトの隆盛が「映画産業を破滅に追い込む」といった考えは「誤った思い込み」であり、現実では観客動員数は減るどころか、逆に増えているという[6]。こうした観客動員数の増加については、「大画面で見た方が楽しめる大作を作ることによって、観客の足を映画館へ運ばせている」との指摘がある[6]。しかしながら、移民の増加によって人口が増え続けているアメリカで観客動員数が増えているからと言って、それが直ちに映画産業の好調を示すものではないことに留意する必要がある。映画産業も他の産業同様、全体として需給のバランスが崩れ始めれば衰退が始まる。需給バランスの客観的な指標としては、観客動員数や総興行収入や全国のスクリーン数ではなく、国民一人当たりの年間映画館利用回数を用いるべきだという指摘もある[7]

原作と映画

原作を映画は超えることができないとか、原作を台無しにしたとか、原作と映画の間には越えがたい問題がある。文字メディアと映像メディアと表現する器が違うのだから、比べること自体が問題である。文字にはできないこと、映像にはできない限界がある。例えば、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『アンナ・カレニナ』では冒頭の「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」(望月哲男訳)相当部分を文字で示さざるを得なかった。逆に、映画の小説化(ノベライゼーション)が原作を超えてヒットすることもない。

例えば、『砂の器』やジャン・ルノワール監督の『ピクニック』など原作とは異なる内容、古典文学を原作としない、短編小説を原作とした映画の方が「名作」とされることが多い。

沼野充義は「単純にスローガン的に、文学を原作にした映画の効用」として3つあげている[8]

一つは「原作と違うといって文句を言える」こと。
二番目に「文学では見てはいけないものを映画にすると見ることができる」ということ。例えば、ワレーリイ・フォーキン監督 『変身』など、カフカが映像化したくなかったかもしれないものを映像化している。
三番目は「読み切れない作品を二時間程度で読んだ気になれる」ということ。例えば『戦争と平和』などは7時間あるが、絢爛豪華な歴史世界を映画で見ることができるし、いつか原作を読もうという気持にさせる。

個人制作の映画

現在、個人ないし少人数のアマチュアグループでの映画撮影は、カメラ一体型VTRで行われるのが普通である。2000年代前半からDVDやメモリー素子に記録することで、磁気テープを使用しないデジタルビデオが普及しているが、DVビデオも現役である。

アナログ式のビデオテープレコーダが普及する以前は、8ミリフィルムで撮影するのが主流であった。業務用の35ミリフィルムは、個人では機材の調達が困難(カメラに限っても、購入だと数百万円必要であり、「保守に信用がおけない」ため、個人向けのレンタルはほとんど行われていない)であり、またフィルムも高価であった。よって、個人向けに、小さなフィルムを使うことでフィルム代や現像代といった感材費をおさえた。

一方、1980年代にベータカムが普及するまでは、テレビ局での野外撮影や、上述のテレビ映画には16ミリフィルムが用いられることが多かった。16ミリであれば、35ミリに比較すれば安価な制作が可能であり、個人でも「手を伸ばせば、何とかなる」ものであったため、「16ミリでの映画制作」が、「アマチュアにおけるゴール」とみなされてきた時代が長く続いた。

更に安価で手軽になった8ミリフィルムでの映画制作については、8ミリ映画の項も参照のこと。

デジタル式ビデオカメラとPCベースのノンリニア編集機材の低価格化により、アルビン・トフラーの『第三の波』に登場する生産消費者が台頭しつつある。またプロユースでもノンリニア編集システムと連動した映像管理ソフトなどが利用されている。

YouTubeなど動画サイトを用いた、誰でも簡単に表現する場ができて、映像の個人製作をめぐる状況が大きく変化してきている。上映する場所もプロジェクションマッピングなどの発達とともに、「映画」と「映像作品」の距離が縮まっている。

日本では、明治時代から個人撮影の映画が制作され始めた。戦前から一部でカラーフィルムで撮影が行われ、NHKで2003年に『BSプライムタイム 映像記録 昭和の戦争と平和 カラーフィルムでよみがえる時代の表情』前編後編、『NHKスペシャル 映像記録・昭和の戦争と平和~カラーフィルムでよみがえる時代の表情~』、2006年に『BS特集 カラー映像記録 よみがえる昭和初期の日本』[9]前編後編と計3本で取り上げられた。




  1. ^ 『岩波国語辞典第三版』岩波書店、1983年、『広辞苑第六版』岩波書店、2008年他。
  2. ^ ダグロン原著、柳河楊江訳述、柳川春三訳『写真鏡図説』1867年
  3. ^ ギリシア語ラテン翻字: kinein
  4. ^ 1911年『第七芸術宣言』(リッチョット・カニュード)
  5. ^ カンヌ映画祭のネットフリックス作品除外で論争続く” (2017年5月18日). 2017年11月11日閲覧。
  6. ^ a b c 「今夏の売上は好調:映画業界は不況にもファイル交換にも強い?」WIRED VISION、2008年9月3日付配信
  7. ^ 西周成著『映画 崩壊か再生か』、アルトアーツ/星雲社、ISBN 978-4-434-15949-7、2011年、41-42頁。
  8. ^ 『やっぱり世界は文学でできている』(光文社p.115f)。
  9. ^ ハイビジョン特集 カラー映像記録 よみがえる昭和初期の日本 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス


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