日本人留学生射殺事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 03:50 UTC 版)
事件の背景
この事件は、銃を身近にある日常的なものとして暮らしているアメリカと、日常生活において銃を目にする機会がほとんどない日本とで、銃に対する意識が大きくかけ離れていることを互いに認識させる契機となった。
アメリカ合衆国には、アメリカ合衆国憲法の権利章典にて、銃で自らや家族を防衛すること(武装権)を認める権利が存在するので、他人の敷地に許可なく侵入することの危険性、射撃の警告を受けた場合の対処の仕方(例えば警官に職務質問などにおいて警告を受けた場合、絶対身体を動かしてはならない)などのアドバイスが、外国人に対して必要という指摘もある[9]。
その後夫婦はストップ・ザ・ガンキャラバン隊[18]に参加し、The Coalition to Stop Gun Violence (CSGV)[19]と連携して活動している[10]。
評論
映画評論家の大場正明は事件の背景として、銃社会のほかに、当時のアメリカの新興住宅地に蔓延していた犯罪への恐怖や人種偏見などを指摘している[20]。
平和の石
1996年にバトンルージュのユニタリアン教会に本事件の記念碑「平和の石」が設置された[1]。「平和の石」は愛知県の「吉田造園」より贈られたものである[1]。
類似の事件
- 米カリフォルニア州サンノゼで1989年6月、語学留学中の日本人女子学生(16)が、路線バスに乗り合わせた犯人によって小学校の敷地で乱暴されたうえ、射殺された。犯人は同州サンタクララ郡地裁で92年8月、死刑判決が言い渡された。
- 1994年3月26日にも同じアメリカのロサンゼルスで2人の日本人留学生が銃撃され死亡する事件が発生した。この2人は映画製作を学ぶために留学していた。
脚注
注釈
- ^ 銃の所持についてピアーズは鹿狩りが趣味で、そのために所有していたと日本のメディアに証言している(『週刊文春』1993年6月17日号)
出典
- ^ a b c 酒井博章"「平和の石」寄贈どなた? 銃規制の象徴 米教会に設置 服部剛丈君両親「感謝伝えたい」"中日新聞2016年12月31日付朝刊、社会面10版②、28ページ
- ^ a b c d “HATTORI v. PEAIRS”. Leagle.com. 2017年12月13日閲覧。
- ^ Kernodle, Katrina (2002年). “Gun Stance Highlights Cultural Gap between U.S. and Japan”. Frances Kernodle Associates. 2005年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年12月30日閲覧。
- ^ a b 賀茂『アメリカを愛した少年 ―「服部剛丈君射殺事件」裁判』 国立国会図書館サーチ蔵書検索(講談社)ISBN 4062067196
- ^ a b c フジテレビ放送 奇跡体験!アンビリバボー10月10日 オンエア公式ホームページ
- ^ “Acquittal in Doorstep Killing of Japanese Student”. The New York Times: p. 1 2013年12月4日閲覧。
- ^ Ressler, Robert. I Have Lived in the Monster. New York: St. Martin's Press, 1997, pp. 38–43
- ^ チャールズ・ムーア 「独占手記:『服部剛丈君裁判』勝利の瞬間」国立国会図書館サーチ蔵書検索
- ^ a b 『週刊文春』1993年6月17日号_世界初!_ピアーズ被告独占インタビュー「私はなぜ剛丈君を射殺したか」
- ^ a b ウィキソースに以下の原文があります。 en:Yoshihiro Hattori#afterwards
- ^ a b 服部剛丈君事件から20年-銃社会アメリカのいま(名古屋)
- ^ 平和のためにできること
- ^ a b “Yoshi's Gift Foundation”. Yoshi's Gift. 2016年3月6日閲覧。
- ^ 『朝日新聞』2012年10月17日付朝刊
- ^ 『朝日新聞』2012年10月22日付朝刊
- ^ `Yoshi Day' To Mark Anniversary
- ^ “Webb Haymaker Obituary”. The Advocate. (2022年4月16日) 2023年10月17日閲覧。
- ^ ストップザガンキャラバン隊メンバー紹介
- ^ リンクとは別にCSGVリンク画像からリンク
- ^ 日本人留学生射殺事件とバトンルージュ郊外の状況――事件の背景にある社会の変化と郊外の緊張 - 大場正明Web Site、2010年9月7日
固有名詞の分類
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