新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop
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新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop | |
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ジャンル | SF、ガンダムシリーズ |
小説 | |
著者 | 隅沢克之 |
イラスト | あさぎ桜(キャラ)、MORUGA(メカ) |
出版社 | 角川グループパブリッシング |
掲載誌 | ガンダムエース |
刊行期間 | 2010年8月号 - 2016年1月号 |
巻数 | 全13巻 |
その他 | 原案:矢立肇、富野由悠季 協力:バンダイホビー事業部 |
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概要
元々トレーズ・クシュリナーダの視点から時代を描く「新機動戦記ガンダムW エントリッヒ・エロイカ」という小説作品を構想していたが、未完のままお蔵入りになったという(後年、文庫版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』の発売時に「エントリッヒ・エロイカ」の物語を書き足す案もあったが、分量が単行本5冊以上にまで及ぶと計算され、再度お蔵入りとなる)。それから10年以上の月日が流れ、再び小説に挑戦する想いが生じたとの事で「エントリッヒ・エロイカ」の物語を序章とし、その後の新たな展開を加えて描かれるのが本作である。
物語は『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』より数十年後から始まり、MC(マーズセンチュリー)と改暦した火星と、「ファイル」という形で語られるテレビシリーズ以前のAC(アフターコロニー)時代の地球圏の2つを舞台として構成されている。
物語
本編
MC-0022年、地球圏統一国家大統領による「オペレーション・ミュートス」発動の許可を受けたプリベンターの老師・張は、部下のキャシィ・ポォ准佐に対し、大統領から送信されたメモリーチップのほか、ヒストリーバンクから3つのファイルをダウンロードし、自身が滞在する火星支局北極冠基地にまで持って来るよう命じる。オペレーション・ミュートスの発動には人工冬眠用冷凍カプセルに眠る「オーロラ姫」の覚醒が必要とされ、オーロラ姫を目覚めさせるにはそのファイルの存在が欠かせないという。やがて基地に現れたファザー・マックスウェルと名乗る初老の男性が持参する4つ目のファイルと合わせ、老師・張は冷凍カプセルの中で眠り続けていたAC時代のガンダムパイロット、ヒイロ・ユイを覚醒させる。
かつて「もう誰も殺さない」と誓ったヒイロに与えられた任務は、地球圏にとって最大の敵である火星連邦政府二代目大統領リリーナ・ピースクラフトの殺害だった。
しかしリリーナ殺害の準備を行うプリベンターから、W教授の妹カトリーヌがリリーナの完全平和主義を完成させようとガンダニュウム製モビルスーツ「プロメテウス」を持ち出し出奔、それを追撃するためヒイロはファザー・マックスウェルの息子デュオとともに出撃する。そのころドクトルTらに拾われ、パイロット訓練を受けたトロワ・フォボスもまたカトリーヌを追っていた。カトリーヌの暴走を食い止めようと老師・張は「エピオンパイ」で発進するが、火星連邦と敵対するラナグリン共和国の指導者ゼクスの操る「ガンダムエピオン」の待ち伏せをうけ場は三つ巴の混戦と化す。
カトリーヌはモビルドール・マグアナックを操り追撃するヒイロ、フォボス、デュオの足止めを行い、マグアナックは全機撃破されるも、ミリアルドと火星連邦大統領補佐官ノインの子供であるナイナ、ミルとの合流に成功しプロメテウス強奪に成功する。そこに戦場に火星連邦の無人マーズスーツ部隊500機がプリベンターとゼクス双方をまとめて抹殺しようと包囲網を形成し乱入、ゼクスは戦場を離脱し、プリベンター部隊はキュレネの風の操るトールギスヘブンの介入により危機を脱するがヒイロは体力の限界からダウンしてしまう。
なおも追撃してくるデュオに対してナイナは直属の火星連邦軍第909特殊独立戦隊「無慈悲な妖精たち」を発進させる。そこへカトリーヌの操る「プロメテウス」も加わり、戦闘は激化する。デュオ達は無慈悲な妖精たちを撃破し、ヒイロの代わりにMS「白雪姫」に乗ったW教授の活躍もあり「プロメテウス」の奪還に成功するが、指揮していたドクトルTやヒイロ達は母艦ショーフック2をクラッキングされ拿捕されてしまう。
ヒイロらを救出すべく、火星連邦首都リリーナ・シティに向かったW教授、デュオ、フォボスはその途中で、火星連邦のナイナ、ミル、カトリーヌの操る有人型マーズスーツとラナグリン共和国が送り込んだビルゴの上陸部隊との戦闘に遭遇する。完全平和主義を謳う火星連邦の危機に直面したW教授達はナイナに加勢し、ビルゴ部隊を撃破したのち火星連邦に投降し先に投降し賓客となっていたヒイロらと合流する。邂逅を果たす一向の元に、傷ついたトールギスヘブンに搭乗したキュレネの風がラナグリン共和国の移動要塞「バベル」のリリーナシティへの接近を告げ倒れる。
接近するバベルを迎撃せんとする火星連邦とプリベンダー部隊と、ラナグリン共和国との戦闘は激化の一途をたどる。そのさなか、リリーナは己の信念に従い対話のためにバベルに乗り込みラナグリン共和国へ投降。人類虐殺プログラムPPPの発動を阻止するため己の手でリリーナを心穏やかな状態で殺す必要のあるヒイロは、彼女の救出のためバベルに乗り込むも、人工冬眠からの不完全な覚醒の影響で認知的不協和を起こし錯乱したリリーナに撃たれてしまう。
ヒイロはファザー・マックスウェルとキャシイによって救出されるが、一命を取りとめたものの治療にあたったドクター・ヒルデにより記憶障害に陥ってしまう。実はヒイロの覚醒に必要であった記憶ファイルから二人の人物の情報が抜き取られておりそれによりヒイロも認知的不協和を起こしており、一度リセットする必要があったのだ。ファザー・マックスウェルは、キャシィや老子・張、ヒルデの協力により不完全だった記憶ファイル「ゼクスファイル」を完全な状態にし、ヒイロにダウンロードしヒイロは完全に復活する。
バベルからノインによって救出されたリリーナは、バベルによるリリーナシティーへの砲撃による被害を受け、改めて完全平和主義の信念に基づき火星南部連合に降伏を宣言、その身を差し出す決意をする。「オペレーション・ミュートス」を実行するために、リリーナと共に要塞バベルへ向かう途中、バーチャルバイザーにより戦いの過去を体験したリリーナは、火星連邦政府の罪を一身に被り、法廷で下された死刑判決を受け入れる。そしてヒイロの放った弾丸が、リリーナを撃ち抜くが、それは立体映像のAIリリーナであった。
一方、残された面々は戦いを終わらせるためそれぞれ行動をはじめる。意識を取り戻したキュレネの風は正体を明かし、初代火星政府大統領ミリアルドとしてデュオ、フォボス、カトリーヌ、ミル、ナイナ、無慈悲な妖精たちを率いてバベルとの戦闘を再開。ファザー・マックスウェルはレディ・アンによって引きあわされたヒイロのスペアであるアルファと共に民衆を立ち上がらせる。老師・張、ドクトルT、W教授、キャサリンは火星衛星軌道上に隠されたモビルドールプラント「ウルカヌス」に乗り込みすべての元凶であるディズヌフを捕えPPPの解除コードを取得し解除に成功する。
白雪姫に乗ったヒイロはミリアルドを追い詰めていたゼクスのエピオン初号機に対し最後の七つの矮星《金》を撃ち込みその強力なEMPによりAIであったゼクスは機能を停止、またバベルや主力であったビルゴIVもシステムダウンしラナグリン共和国は戦力を喪失。火星南北戦争は終結を迎える。
戦後、火星のウィナーホスピタルで母親と過ごすリリーナの元に手紙を持ったヒイロが現れる。ドーリアンへと戻ったリリーナと共に歩む誓いとして、ヒイロはコロニーのエージェント「ヒイロ・ユイ」の名を捨てただの少年に戻る。初めて自らの手でリリーナに渡した手紙には、プロポーズの一言が書かれていたのだった。
トレーズ・ファイル
ヒイロの覚醒に必要だったバーチャルバイザーの記憶ファイルの一つ。
主にトレーズの人格形成の過程が描かれており、 トレーズの両親であるアイン・ユイとアンジェリーナ・クシュリナーダの出会いから駆け落ちと離別、トレーズとその弟ヴァンの誕生、モビルスーツの完成とスペシャルズ創設とその初陣、ヴァンのロームフェラ財団掌握、嵐の大洋会戦(第一次月面戦争)とその後に行われたバルジ完成式典への反乱軍の奇襲攻撃、そこから始まるロームフェラ財団によるコロニーへの締めつけとヴァンの暗殺までが記録されている。
ピースクラフト・ファイル
ヒイロの覚醒に必要だったバーチャルバイザーの記憶ファイルと、ヒルデがミルに送ったファイルを組み合わせて作成されたリリーナの覚醒に不足していた記憶ファイル。
ピースクラフト王家に生まれた双子の王女サブリナとカテリナを中心に、地球圏統一連合と反乱軍との戦いの日々や若き日の指導者ヒイロ・ユイの軌跡が描かれており、AC130年のピースクラフト王家に生まれた双子の王女であるサブリナとカテリナの誕生、若き日の指導者ヒイロ・ユイとカテリナの出会い、AC145地球圏統一連合への反乱軍がピースクラフト王国に逃げ込んだことに端を発する地球圏統一連合とピースクラフト王国との戦争におけるカテリナと若き日の5博士達の活躍。サブリナに名を譲ったカテリナのシス・マーキスとしての日々、サブリナの死に伴うカテリナの復帰、指導者ヒイロ・ユイのエメラルド・シティの副市長就任が記録されている。
プリベンダー5
元はFrozen Teardropの序章として制作されたBlu-ray Box2の封入特典のピクチャードラマ「新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop 次なる戦い(エピオンアレス)」のCDシナリオ。
A.C.197年。リリーナの居城サンクキングダム・キャッスルがテロリスト集団『次の政府』に占拠される。テロリストの首謀者ディズヌフの目的は地球圏支配のためにPPPと呼ばれる虐殺プログラムを起動することだった。PPPの起動にはサンクキングダム・キャッスルに存在する特別なコンピュータとピースクラフト王家に連なる人物の生体認証が必要だったのである。
テロ事件解決のために、プリベンダーの長であるレディ・アンはかつてのガンダムパイロットに協力を要請。彼らの活躍によりテロ自体の終息には成功するが、仕掛けられた核爆弾の解除とPPPの起動がリンクしていた。リリーナは事件解決のために傷ついたヒイロの命を救うため、PPPの起動を行う。
PPPの発動を防ぐため、リリーナはドクターJの設計した人工冬眠用冷凍カプセルで眠りにつくことを選択し、ヒイロもまたリリーナが意図せず覚醒しPPPの発動が行われようとした時、唯一の発動回避手段であるリリーナの安らかな死を実現するため、別の人工冬眠用冷凍カプセルで眠りについた。
ゼクス・ファイル
ヒイロの覚醒に必要だったバーチャルバイザーの記憶ファイルの一つ。 ファザー・マクスウェルが持参したヒルデが作成したファイルから竜妹蘭とサリィ・ポォのデータが抜けていたため当初は不完全であった。
トレーズ・ファイルの続きとして、主に反乱軍の捕虜からテストパイロットになったゼクスを中心に、ガンダムの開発と第二次月面戦争、後のガンダムパイロットたちの姿が描かれており、捕虜となったゼクスとエルヴの転戦、生きていたアインとの邂逅、ノインとの合流、G-03554コロニー落下事故とその際行われたZEROシステムの再起動とトレーズへの譲渡、後のヒイロのガンダムパイロットとなるための訓練、第二次月面戦争とその後始末が記録されている。
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