拘束衣 構造

拘束衣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/13 07:37 UTC 版)

構造

一般的には袖が長いジャケット状で、着用者の手を腹側にまわして袖を結び上半身の自由を奪うものが知られている。

精神科病院や刑務所などで、自傷行為を起こす閉鎖病棟の入院患者や、暴れる受刑者に着せられたりすることが多かったため、重症の精神病患者、もしくは非常に重要な犯罪者に用いるイメージが強い(一部の映画でもそのように用いられてきた)。

精神科病院で使用される物は、閉じた袋状の袖の外側に、短い革ベルトの先端部分が縫いつけられていて、胴体側に付けられたバックル部分に差し込んで使用する製品が多い。これは自傷行為や無断離院を防止するために指先を露出させない一方で、患者の苦痛を和らげるために、拘束衣の締め付けの強弱を調整するためである。胴部のバックルが複数あり、拘束の角度を変えることができる製品も存在する。

ただ、この処置には『患者に対する人権侵害』という批判が根強いため、近年では拘束衣を用いず包帯など柔らかい布でベッドに拘束したり、ベッドの上に厚手の革ベルトや板などを渡し、ベットからの落下防止と拘束を行なう向きもある。

用途

本来の用途

元々は、酷い皮膚疾患やアルコール中毒など、自分の意志では止めることができないが治療の妨げになる行動(かきむしりや脱走など)を防ぐ目的で、製作・使用されてきた医療用具であるので、認知症の老人や子供向けに1人では脱げない衣服、ファスナーで自傷しない衣服が、拘束衣・拘束着として販売されていたが、介護保険法に定められた「身体拘束禁止規定」に抵触するため、近年では老人介護施設を中心に、極力使用しない努力が広まっている。

その他の用途

BDSM用の拘束衣

拘束衣から抜け出す「脱出術」は、フーディーニ以来奇術の定番となっている。

BDSMでも拘束具の一つとして用いられる。また、拘束服、拘束着は拘束衣と同様のものである。ただし、BDSMで用いられるベルトを組み合わせただけの衣服としての機能を持たない拘束具も拘束衣と紹介されることが多いが、拘束衣・拘束着はあくまで自由を拘束することのできる「衣服」であり、着用者の皮膚を保護しないものは拘束衣・拘束着とは呼べない。

事件

2007年8月3日には、大阪府警泉南署の留置場で、道交法違反容疑で逮捕された35歳の男性が、留置場内で拘束衣を着せられて保護室に収容中に心疾患で死亡する事件が起きている。

近年では、このように人体を長時間に渡って拘束することがクラッシュ症候群の原因となることが知られており、ベッドにベルトで拘束する方式の物を含めて使用頻度を減らす努力が行われている。




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