戦争と平和 (オペラ) 編曲

戦争と平和 (オペラ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 16:08 UTC 版)

編曲

プロコフィエフは「三つのオレンジへの恋」「修道院での婚約」などのオペラでは管弦楽のための演奏会用組曲を編んでいるが、本作ではそれをおこなっていない。クリストファー・パーマー英語版1988年に作成した組曲は3つの楽章からなり、それぞれ第2場、第1場、第13場の音楽を再構成している[26]

プロコフィエフ自身の編曲では、第2幕と第4幕に現れるワルツが、1946年に初演された管弦楽のための「ワルツ組曲」Op.110の第5曲、第1曲として収められた。またピアノ独奏のために、第4幕のワルツが「3つの小品」Op.96の第1曲として、第2幕のワルツが個別のかたちで[注釈 8]それぞれ編曲されている。

参考文献

  • Taruskin, Richard (2006). “戦争と平和”. 新グローヴオペラ事典. スタンリー・セイディ編、日本語版監修:中矢一義、土田英三郎. 白水社. pp. 383-390 
  • フランシス・マース (2006). ロシア音楽史:《カマーリンスカヤ》から《バービイ・ヤール》まで. 森田稔、梅津紀雄、中田朱美 訳. 春秋社 
  • 伊藤恵子 (1995). “戦争と平和”. 作曲家別名曲解説ライブラリー20 プロコフィエフ. 音楽之友社. pp. 227-234 
  • Nestyev, Israel V. (1961). Prokofiev. trans. Florence Jonas. Stanford University Press 
  • (score) War and peace : an opera in five acts, op. 91 / Vocal score, Collected works of Sergei Prokofiev, 34A, B, Belwin Mills 

外部リンク


  1. ^ 『オックスフォードオペラ大事典』によると、ボリショイ劇場1842年以降オペラシーズンの幕開けにかならず「皇帝に捧げた命」を上演していたが、本作ははじめてその慣例を破る作品となった[6]
  2. ^ 1942年5月の試演を担当したのはアナトリー・ヴェデルニコフスヴャトスラフ・リヒテルだった[4]
  3. ^ プロコフィエフは本作を自分のもっとも代表的な、満を持した作品と考えており、ミラ・メンデリソンによれば、晩年には毎日のように上演の可能性について話していた[11]
  4. ^ 1958年に出版されている。
  5. ^ 第1部と第2部の分離についても指摘されるが、タラスキンは、第1部におけるナターシャ/アナトーリ/アンドレイ/ピエールと、第2部におけるロシア/フランス/人民/クトゥーゾフの関係が対応すると分析している[18]
  6. ^ マースは第2場の四拍子のポロネーズと、「スペードの女王」第2幕の四拍子のサラバンドとの関係を指摘している。また第5稿で追加された第1場の二重唱は、「スペードの女王」第1幕の二重唱でチャイコフスキーが用いたのと同じヴァシーリー・ジュコーフスキーの詩を取りあげている[11]
  7. ^ 映画「イワン雷帝」のため書かれた旋律が転用された。他にもオペラ内では、1937年に劇付随音楽として書かれたが演奏されなかった「エヴゲーニイ・オネーギン」の音楽も転用されている。
  8. ^ 新たな作品番号は与えられていない。
  1. ^ マース 2006, pp. 540.
  2. ^ a b 長木誠司 (2015). オペラの20世紀: 夢のまた夢へ. 平凡社. p. 307-311 
  3. ^ 田辺佐保子 (2002). “プロコフィエフ”. オペラ・ハンドブック 新版. 新書館. p. 50 
  4. ^ a b c d e f g h Taruskin 2006, pp. 384-387.
  5. ^ 伊藤 1995, p. 229.
  6. ^ ジョン・ウォラック、ユアン・ウエスト (1996). オックスフォードオペラ大事典. 大崎滋生、西原稔 監訳. 平凡社 
  7. ^ Ian MacKenzie (2010年1月29日). “Prokofiev's "War and Peace" original critical hit”. uk.reuters.com. 2018年5月25日閲覧。
  8. ^ マース 2006, pp. 541-543.
  9. ^ Nestyev 1961, p. 364.
  10. ^ マース 2006, pp. 509.
  11. ^ a b c マース 2006, pp. 544-545.
  12. ^ Richard, Taruskin (1992). “War and Peace”. In Sadie, Stanley. The New Grove dictionary of opera. 4. Macmillan. pp. 1103 
  13. ^ セルゲイ・プロコフィエフ (2010). プロコフィエフ: 自伝/随想集. 田代薫 訳. 音楽之友社. pp. 210-211 
  14. ^ マース 2006, pp. 541-542.
  15. ^ Nestyev 1961, p. 445-446.
  16. ^ Nestyev 1961, p. 446.
  17. ^ Nestyev 1961, p. 447-448.
  18. ^ a b c d Taruskin 2006, pp. 389-390.
  19. ^ Nestyev 1961, p. 451-452.
  20. ^ Nestyev 1961, p. 448-449.
  21. ^ 日本ロシア音楽家協会 (2006). ロシア音楽事典. 河合楽器製作所出版部. p. 191 
  22. ^ Taruskin 2006, pp. 383-384.
  23. ^ a b 永竹由幸『オペラ名曲百科 下』音楽之友社、1984年、438-445頁。
  24. ^ Taruskin 2006, pp. 388-389.
  25. ^ The Oxford Dictionary of Music (Sixth ed.). Oxford University Press. (2013). p. 905 
  26. ^ Christopher Palmer (1992). Prokofiev: Symphonic Suite from "War and Peace" etc (PDF). Philharmonia Orchestra, Neeme Järvi. Chandos. CHAN10538。


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