怪獣8号 製作

怪獣8号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 15:11 UTC 版)

製作

松本の3作目の連載作品。2016年春以降、『少年ジャンプ+』はオリジナル作品が主力となって人気を伸ばしており、ヒット作を次々と輩出していた[8]。その中で、能力は高いものの長年不遇だった作家たちが、新作を発表してブレイクするという流れが起きていた。松本も漫画家歴は長いがこれまでヒット作を発表できずにいた[9]。こうした背景の元で本作の連載が始まり、2021年3月の時点では『SPY×FAMILY』と並ぶ『少年ジャンプ+』最大のヒット作と称された[8]

本作に登場する怪獣は台風のように番号で呼ばれ、発生波による津波を呼ぶ危険性がある。その強さを示すためにマグニチュードになぞらえた「フォルティチュード」という単位が使われるなど、自然災害(特に地震)のメタファーとして機能している。これは第二次大戦下の空襲を象徴していた特撮怪獣映画『ゴジラ』(1954年)などとは異なり、『シン・ゴジラ』(2016年)に代表される東日本大震災(2011年)以降の怪獣作品の系譜にあるとされている[4]

社会的評価

担当編集者は大人が過去にワクワクしていたものを大人目線で楽しめる作品にすることが狙いであったため、若者からの支持を危惧していたが、結果的に予想以上の反響となった[10]

単行本の発売前から日本国内外で人気を博す[11]。1日で3200件を超えるコメントが寄せられるなど、連載開始からインターネット上で大きな話題を呼び、最新話更新のたびに大きな反響を呼んでいる。2020年12月には『少年ジャンプ+』の看板作品と報道された[4][2][注 1]。各話の閲覧数は更新ごとに100万を超え、総閲覧数は第15話公開(10月30日)時点で3000万[13]、第31話公開(4月16日)時点で1億閲覧[14]を『少年ジャンプ+』史上最速となるペースで突破した。

単行本の発行部数は1巻で43万部を突破した[15]。また、2020年に発売された1巻としては、集計日数が28日にもかかわらず、同年日本で最も売れた作品となった[16]。国内累計発行部数は2023年12月現在で1200万部(デジタル版を含む)[17]、全世界累計発行部数は同年3月現在で1100万部をそれぞれ突破している[18]。また、2021年3月に記録した100万部[19]、同年6月に記録した300万部(電子版を含む)[20]、同年9月に記録した400万部(電子版を含む)はいずれも『ジャンプ+』連載作品としては最速記録となった[21]

少年ジャンプ+編集長の細野修平は、2020年9月時点で「最近注目している作品」として本作を挙げ、「どこまで伸びるのか楽しみ」であると語っている[22]

主な受賞・ノミネート歴
受賞年 セレモニー 部門・賞 受賞対象 備考・出典
2021年 コミックス第1巻 年間売上ランキング(2020年) 1位 『怪獣8号』1巻 同期に最も売れた単行本1巻新刊
続編・スピンオフなどは除く[16]
コミックス第1巻売上ランキング(2020年10〜12月) 2位 『怪獣8号』1巻 同期間に最も売れた単行本1巻新刊[23]
マンガ大賞2021 ノミネート 『怪獣8号』 [24]
次にくるマンガ大賞2021 Webマンガ部門・1位 『怪獣8号』 [25]
第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 2位 『怪獣8号』 [26]

あらすじ

怪獣が人々の日常生活を破壊する“怪獣大国”・日本。幼いころに住む町が破壊された主人公の日比野カフカは、幼馴染の亜白ミナとともに「怪獣を全滅させよう」と約束した。

しかし、32歳になったカフカは夢破れて怪獣死体の解体業者・モンスタースイーパーに就職した。日本防衛隊の隊員として活躍するミナを横目に鬱屈した日々をおくっていたカフカだが、アルバイトの市川レノから防衛隊の年齢制限が引き上げられることを教えられ、再び入隊試験を受けるよう促される。決意を新たにするカフカだが、謎の生物に浸食されて身体を怪獣化され、怪獣8号と呼ばれるようになってしまう。この時、レノが最初に8号に変身したのを目撃している。

エピソード1 怪獣になった男(第1話〜第12話)
防衛隊選別試験の一次書類審査を通過したカフカとレノは、二次試験を受験するため試験の西東京会場である防衛隊立川基地を訪れ、駐車場で四ノ宮キコルと出会い一悶着を起こす。怪獣の力を使わず試験に臨んだカフカであったが、加齢による衰えもあり体力試験では苦戦を強いられる。その後、試験は演習場での試験用に捕獲した余獣を使用した怪獣討伐へと移され、攻撃能力の低いカフカとレノは怪獣解体で得た知識を活かした支援行動に回り健闘する。一方キコルは援護すら寄せ付けない圧倒的な活躍を見せ試験は終了するが、謎の人型怪獣が現れ、試験で倒した余獣が次々と復活する。カフカはキコルを守護するべく8号へと変身。
エピソード2 夜明けの相模原掃討作戦(第12話〜第24話)
試験には不合格になるものの、副隊長・保科宗四郎の目に止まり候補生として採用されたカフカは初任務で相模原に出現した大型怪獣の討伐へと向かう。カフカは現場で余獣を直接解体し、怪獣の生態情報を提供するなどの活躍を見せる。一方、余獣を掃討していたレノと古橋伊春の前に、モンスタースイーパーの解体作業員が現れる。直後、作業員は立川の最終試験を襲った人型怪獣怪獣9号へと変形し、レノと伊春を襲撃する。カフカは怪獣8号に変身し、レノらの救出へと向かう。
エピソード3 立川基地襲撃(第24話〜第32話)
相模原掃討作戦での働きが評価されたカフカは正式に防衛隊員として採用される。それも束の間、複数の翼竜型怪獣を引き連れた人型怪獣怪獣10号が立川基地に奇襲をかけてくる。
エピソード4 捕らわれた怪獣8号(第33話〜第40話)
立川基地を10号から守るためやむを得ず人前で8号に変身したカフカは、仲間である防衛隊に拘束され本部にて尋問を受けることになる。
エピソード5 怪獣兵器(第41話〜第56話)
防衛隊長官・四ノ宮功の判断により、怪獣兵器として運用されることを条件に処分保留となったカフカは、10号により壊滅的な被害を受けた立川基地の復旧まで、キコルと共に一時的に第1部隊に編入される。そんな折、品川区で蟻型の怪獣が群体で出現。第1部隊が出撃し対処にあたるが、カフカは変身不能の事態に陥る。そんなカフカの目の前に怪獣9号が三度現れる。
エピソード6 適合者(第57話〜)
品川での怪獣9号戦で四ノ宮長官を失った防衛隊は師団会議を招集する。保科は怪獣10号から自身の怪獣兵器化を条件に9号の情報の提供を受け、9号が大怪獣クラスの怪獣を生産する能力を持ち、将来的に量産できるほどの能力を持てば壊滅的な脅威となる旨を報告する。報告を受けた防衛隊本部は新たな人材の育成を急務とし、組織の立て直しを図る。その一環として、市川は適合者不在で封印されていた怪獣6号ベースの識別怪獣兵器「ナンバーズ6」と同調の兆しを見せたため、松本基地で適合訓練を受ける。

  1. ^ 本作以前には『SPY×FAMILY』が看板作品であったとされている[12]
  2. ^ 彼以外の同期は基本的にミナを目標にしているキャラが多い。
  3. ^ 第102話時点で88%。
  4. ^ 移動用の車両は配備されている。





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