原始元定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/05 22:29 UTC 版)
用語
を有限次体拡大とする。元 は
であるときに の原始元 (primitive element) と呼ばれる。この状況で、拡大 を単(純)拡大という。このとき E のすべての元 x は
の形に書ける、ただしすべての i に対して であり、 は固定されている。つまり、 が n 次分離拡大であれば、ある が存在して、集合
は E の F 上ベクトル空間としての基底である。
例えば、拡大 と はそれぞれ原始元 と x による単拡大である( は 上不定元 x による有理関数体を表す)。
存在の主張
定理の解釈は 1930 年頃エミール・アルティンの理論の定式化で変わった。ガロワの時代から、原始元の役割は分解体をただ1つの元で生成されるものとして表現することだった。そのような元のこの(任意の)選択は Artin の扱いにおいて避けられる[1]。同時に、そのような元の構成の考慮は退く:定理は存在定理 になる。
すると以下のアルティンの定理は古典的な原始元定理に取って代わる。
- 定理
を有限次体拡大とする。このときある元 に対して であることと なる中間体 K が有限個しか存在しないことは同値である。
すると定理の系はより古風な意味での原始元定理(分離性は通常暗黙に仮定された)である:
- 系
を有限次分離拡大とする。このときある に対して である。
系は代数体、すなわち有理数体 Q の有限拡大に応用する、なぜならば Q は標数 0 ゆえ任意の拡大が分離的だからである。
- ^ Israel Kleiner, A History of Abstract Algebra (2007), p. 64.
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