ロールス・ロイス ペガサス ペガサス10・11

ロールス・ロイス ペガサス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 05:11 UTC 版)

ペガサス10・11

ペガサス6をもとに、タービン入口温度を上昇させるなどして推力を9,300 kgfに向上させたのがペガサス10であった。1969年2月に初運転し、1970年3月に型式証明を取得した。イギリス空軍ではペガサスMk.102と称されたほか、AV-8Aとともにアメリカ海兵隊にも導入され、こちらではF402-RR-400と称される[2]

その後、ファンの空気流量の増加やタービンの冷却方法の改善などで、推力を9,750 kgfに向上させたのがペガサス11であった。1969年4月に初運転、1971年7月に型式証明を取得しており、イギリス空軍ではペガサスMk.103、アメリカ海兵隊ではF402-RR-401、スペイン海軍ではMk.150と称される[4]。またイギリス海軍でも、シーハリアーFRS.1のために小改正型のペガサスMk.104を導入し、1977年2月に型式証明を取得した。これは艦上戦闘機としての運用に対応して、ファンとケーシングの部分にアルミニウム合金を採用するなど耐食性を向上するとともに[5]、発電能力も増強されていた[2]。インド海軍のFRS.51向けの製品はMk.151-32と称される[4]

全面的に改設計した第二世代ハリアーであるハリアー IIのための小改正型として開発されたのがペガサス11-21で、シーハリアーFA.2にも導入された[5]。イギリス空軍ではペガサスMk.105、海軍ではMk.106、スペイン海軍ではMk.152-42、アメリカ海兵隊ではF402-RR-406と称される[4]。HPタービンの冷却方法の改善やLPタービンの改良などが行われており、1984年12月より引き渡しが開始された。また1986年以降の生産分ではFADECが導入された[1]

そして、ペガサス11の最終発達型として開発されたのがペガサス11-61であった。これは出力を10,795 kgfに増強しており、エンジン温度が上昇しやすく出力の余裕が乏しくなるような気温が高い日の垂直着陸能力を強化するとともに、将来の機体重量増加に対応できる余裕が確保された。イギリス空軍ではペガサスMk.107[注 2]、アメリカ海兵隊ではF402-RR-408と称される[1]

搭載機
基本仕様  イギリス空軍  イギリス海軍 アメリカ海兵隊
名称 搭載機 名称 搭載機 名称 搭載機
ペガサス10 ペガサスMk.102 ハリアーGR.1A/3 F402-RR-400 AV-8A
ペガサス11 ペガサスMk.103 ペガサスMk.104 シーハリアーFRS.1 F402-RR-401 AV-8A/C
ペガサス11-21 ペガサスMk.105 ハリアーGR.5/7 ペガサスMk.106 シーハリアーFA.2 F402-RR-406 AV-8B
ペガサス11-61 ペガサスMk.107 ハリアーGR.7A/9 [注 2] F402-RR-408

注釈

  1. ^ 強い横風に対する機首方位維持には有効であるため、ヨーイングを制御する目的でラダー、エルロンの操作を要する
  2. ^ a b シーハリアーFA.2への搭載も検討されたものの、コスト面の理由から実現しなかったため、海軍仕様は存在しない[5]

出典



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