ラマヌジャンの合同式 ラマヌジャンの合同式の概要

ラマヌジャンの合同式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 15:03 UTC 版)

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定理

4=4, 3+1, 2+2, 2+1+1, 1+1+1+1のように、正の整数 n をいくつかの正の整数の和として表すことを整数分割という。分割の仕方の総数を分割数といい、p(n) と表す。例えば、p(4)=5である。分割数 p(n)n5m+4, 7m+5, 11m+6 (m=0,1,2,..) であるとき、それぞれ、5, 7, 11で割り切れる。すなわち、

が成り立つ。これらの関係式をラマヌジャンの合同式という。

イギリスの数学者で少佐でもあるパーシー・アレクサンダー・マクマホン英語版n=200 までの分割数 p(n) を計算し、その表を作成した。マクマホンの表からラマヌジャンはこれらの関係式が成り立っていることに気づき、1919年に1番目と2番目の関係式の証明を与えた[4]。3番目の関係式については、ラマヌジャンの没後、1921年にハーディによってラマヌジャンの証明の論文が出版された[5]

実際に p(5m+4), p(7m+5), p(11m+6)のいくつかを書き下すと次のようになる[6]

m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
5m+4 4 9 14 19 24 29 34 39 44 49 54
p(5m+4) 5 30 135 490 1575 4565 12310 31185 75175 173525 386155
m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
7m+5 5 12 19 26 33 40 47 54 61 68 75
p(7m+5) 7 77 490 2436 10143 37338 124754 386155 1121505 3087735 8118264
m 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11m+6 6 17 28 39 50 61 72 83 94 105 116
p(11m+6) 11 297 3718 31185 204226 1121505 5392783 23338469 92669720 342325709 1188908248

ラマヌジャンの合同式はある素数 l とある整数 β について、

の形をしている。ラマヌジャン自身はこうした合同式は稀であると考えていたが、スコット・アールグレンとマシュー・ボイランは、この関係式を満たす素数 lと整数 β (0 ≤ βl-1)の組が (l, β)=(5,4), (7, 5), (11, 6)、すなわち、ラマヌジャンの合同式の場合に限られることを示した[7]

拡張

1919年の論文でラマヌジャンは、さらに以下の関係式が成り立つことを予想した[4]

但し、λp,n

を満たす正の整数である。これらの予想は、

ならば、すべてのm=0,1,2,.. に対して

が成り立つ、とまとめることができる。この場合も、証明は5a, 7b, 11cの場合をそれぞれ考えればよく、その他の場合は系として得られる。

ラマヌジャンは5272の場合の証明のあらましを記している。しかしながら、1934年にサーバダマン・チョウラ英語版73での反例を見出した[8]

であるが、

は、73では割り切れない。1938年にジョージ・ネヴィル・ワトソン英語版は、 7bの場合については7[(b+2)/2]と補正すれば、正しいことを示した[9]。 このとき、修正された予想は

ならば、

となる。ワトソンはこの修正された予想において、5a, 7bの場合の証明を与えた[9]。さらに、1967年にオリバー・アトキン英語版11cについて証明を与え[10]、最終的にこの予想が正しいことが結論された。


  1. ^ ラマヌジャンは1919年の論文では母関数のやや異なる方法で証明している。同論文で、ラマヌジャンは証明とは別にこの2つの関係式に言明したが、この2つの式については完全な証明を示さなかった。詳細はG. H. Hardy (1940), Lecture VIを参照。
  2. ^ N(m, n)N(m, t, n)
    の関係にある。

出典



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