ラマヌジャンの合同式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 15:03 UTC 版)
母関数による証明
ラマヌジャンの合同式の証明の代表的な方法の一つは、母関数の議論に基づくものである[1][2]。ラマヌジャン自身も1919年の論文で、5と7を法としたときの合同式の証明に母関数の方法を用いた[4]。次の2つの式は、p(5n+4)と p(7n+5) の母関数の表示を直接与えている[注 1]。
右辺を q のべき乗で展開したときに、qnの係数は1番目の式では p(5n+4) となるが、これは5で割り切れる。同様に、qn の係数は2番目の式では p(7n+5) となるが、これは7で割り切れる。すなわち、p(5n+4) ≡ 0 (mod 5) と p(7n+5) ≡ 0 (mod 7) が成り立つ。なお、q-解析で使用されるq-ポッホハマー記号
を用いれば、
と表すことができる。
注
- ^ ラマヌジャンは1919年の論文では母関数のやや異なる方法で証明している。同論文で、ラマヌジャンは証明とは別にこの2つの関係式に言明したが、この2つの式については完全な証明を示さなかった。詳細はG. H. Hardy (1940), Lecture VIを参照。
- ^
N(m, n) と N(m, t, n) は
出典
- ^ a b G. H. Hardy (1940), Lecture VI
- ^ a b Hei-chi Chan (2011), chapter 16-20
- ^ Robert Kanigel (1991)
- ^ a b c S. Ramanujan, Proc. Cambridge Philos. Soc. (1919)
- ^ S. Ramanujan, Mathematische Zeitschrift (1921)
- ^ G .H. Hardy and S. Ramanujan (1918), 論文中のマクマホンによる表
- ^ S. Ahlgren and M. Boylan, Invent. Math. (2003)
- ^ S. Cholwa, J. London Math. Soc. (1934)
- ^ a b G. N. Watson, J. Reine. Angew. Math. (1938)
- ^ A. O. L. Atkin, Glascow Math. J. (1967)
- ^ F. Dyson, Eureka (1944)
- ^ Hei-chi Chan (2011), chapter 14
- ^ A. O. L. Atkin and H. P. F. Swinnerton-Dyer, Proc. London Math. Soc.(1954)
- ^ G. Andrews and F. Garvan, Bull. Am. Math. Soc.(1988)
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