ライスボートの戦い 背景

ライスボートの戦い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/31 04:37 UTC 版)

背景

1775年4月、アメリカの13植民地でイギリスの植民地政策が問題にされ、レキシントン・コンコードの戦いで戦争に突入した。この事件の後、愛国者植民地人はボストン市を取り囲み、包囲戦を布いたが、包囲は不完全だった。ボストン市には海から物資を供給できた。この包囲戦に関する報せや6月に起きたバンカーヒルの戦いによって、13植民地全体に独立の機運が盛り上がった。この出来事までジョージア植民地は比較的中立の状態を保っていたが、植民地議会内の急進派が1775年夏に権力を握り、総督のジェイムズ・ライトから権限を取り去っていった[2]。ライトはサバンナ近くにイギリス海軍が来てくれるよう要請していたが、チャールストンの愛国者がその要請書の伝達を妨害し、その代わりにライトは支援を必要としないとする文書を送っていた[3]

1776年1月、イギリス軍のマン・オブ・ウォーがタイビー島に到着し始めたとき、ジョージアにおける紛争は頂点に達した。1月12日、3隻の艦船がタイビー島沖に投錨した。1月18日には、この艦隊はHMSチェロキー、HMSサイレン、HMSレイブン、HMSタマーと多くの小艦艇で構成されていた。植民地議会議員のジョセフ・クレイなどに表明されたライトの意見は、この艦隊が反乱者を罰するために派遣されたということになっていた[4]。実際にこれら艦船は、ボストンで包囲されているイギリス軍のために、サバンナで物資を得ることを目的に集められていた艦隊の中で初めに到着したものだった。1775年12月、イギリス軍の司令官ウィリアム・ハウ将軍は、ジョージアでコメなどの物資を買い求めるよう遠征隊に命令していた[5]。2月初旬までに全艦隊がタイビー島沖に集結した。艦隊指揮はHMSスカボローに乗艦するアンドリュー・バークレイ海軍大佐であり、他にHMSヒンチンブルックと輸送船のHMSウィットビー、HMSシンメトリーの2隻が、ジェイムズ・グラント少佐の指揮で第40歩兵連隊からの約200名のイギリス陸軍正規兵を運んできていた[5]

1月に最初の艦船が到着したことで、ジョージア安全委員会は1月18日にライトなどイギリス政府から派遣された植民地役人を逮捕させる命令を出した。ジョージア民兵隊の少佐ジョセフ・ハーバーシャムがライト総督を自宅拘禁し、イギリス艦船との通信を図らないという約束をさせた[6]。ライトは拘禁されているにも拘わらず嫌がらせを受け続けたので、その命が危ないと感じ、2月11日の夜にその邸宅から逃げ出した。その後王党支持者のプランテーションまで落ち延び、そこからスカボローまで連れて行かれた[7]。そうしている間にジョージア植民地議会は会合を開き、第二次大陸会議に送る代議員を選出し、大陸軍のために連隊を立ち上げる手続きを始めていた[8]

ジョージア最後の総督ジェイムズ・ライト

ライト総督はスカボローに乗艦すると、サバンナに残っている議員に手紙を書き、安全を確保しなければならなかったことについて不満を表明し、愛国者当局から望みの物資を得られるよう要請した[1]。ジョージア植民地は、他の12植民地と共に、1774年に第一次大陸会議が作成した、イギリスとの交易を禁じる同盟規約を採択していた[9]。交渉は事実上失敗し、2月29日、バークレイはその艦隊に行動に移るよう命令した[1]。その目標は、サバンナの港に入っている多くの商船であり、その船主は商品を動かしたがっていた。以前の制約の有効期限が切れる3月1日には取引の可能性が出てくる予想があった[10]


  1. ^ a b c Russell, p. 74
  2. ^ Jones, pp. 194–210
  3. ^ Jones, p. 180
  4. ^ Johnson, p. 129
  5. ^ a b Johnson, p. 128
  6. ^ Russell, p. 73
  7. ^ Jones, p. 212
  8. ^ Jones, pp. 215–217
  9. ^ Jones, p. 188
  10. ^ a b c Russell, p. 75
  11. ^ Jones, pp. 225–226
  12. ^ Jones, pp. 221–223
  13. ^ a b Jones, p. 227
  14. ^ Jones, p. 228
  15. ^ Clark, vol 4, pp. 279,494
  16. ^ Clark, vol 4, p. 444
  17. ^ Clark, vol 4, p. 327
  18. ^ Jones, p. 229
  19. ^ Clark, vol 4, p. 602
  20. ^ Clark, vol 4, pp. 815,1114
  21. ^ Clark, vol 5, p. 118
  22. ^ Cashin





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