メッサーシュミット Me163
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 00:44 UTC 版)
その後
戦後、連合国軍に接収されたMe 163は詳細な調査が行われ、航空技術史的には高い評価を受けたが、ジェットエンジンの発展の前に「ロケット推進航空機」というジャンルの機種は衰退し、実用機としてはMe 163、桜花など数えるほどしか存在しない。
またソビエト連邦でも1942年にBI-1が飛行した。他にもミグI-270、DFS 40、DFS 194等があったがどれも実験段階で終わった。
しかし、世界で初めて水平飛行による超音速突破に成功したアメリカのベルX-1や、有人航空機としては2008年現在でも7,274 km/h/107.970 kmの最大到達速度/最大到達高度記録を保持しているノースアメリカンX-15のように、実験/記録機としては「ロケット推進航空機」はその後も存在し発展を続けている。また、一部の愛好家によって実用機では無いもののXCOR Aerospace社のXCOR EZ-Rocketのようなロケット飛行機が開発、飛行されている。
バリエーション
- Me 163A
- ロケット動力の研究機であるDFS 194の改良型。実用型のMe 163Bとは異なる外観を持つ。HWK-R2-203(推力750kg)を搭載。
- Me 163B-0
- HWK-109-509A2(推力1,700kg)を搭載した先行量産型。70機生産。主にMG151/20 20mm機関砲2門(弾薬各100発)を装備。V46号機以降は30mmMK 108機関砲2門(弾薬各60発)を装備した。
- Me 163B-0/R1
- V46号機以降の機体に類似した型でクレム社ベブリンゲン工場で20機のみ作られた。
- Me 163B-0/R2
- B-0に類似しているがB-1の量産用の翼を使用しクレム社ベブリンゲン工場で30機のみ作られた。
- Me 163B-1a
- HWK-109-509A(推力1,700kg)を搭載。279機生産。MK 108 30mm機関砲2門(弾薬各60発)を装備。
- Me 163B-2
- 標準量産型でクレム社で生産が予定されていた。武装・無線機ともB-1と同じだが、エンジンは巡航燃焼室の無いHWK-109-509Bの予定だった。
- Me 163C
- 補助燃焼室を持つHWK-109/509C-1(推力2,000kg)を搭載。燃料搭載量を増やして航続時間の延長を目指した。涙滴式風防、与圧キャノピー、30mm機関砲を4門に増やすなどの改良を加え、試作機が3機ほど完成していたと見られるが、Me 163Dの方が有望であると判断されて生産は中止された。
- Me 163S
- B-1aの武装、ロケットエンジンを撤去して複座化した練習機。
- Me 163D / Me 263(Ju 248)
- ユンカース社によって大幅な再設計がなされている。橇式だった降着装置は前車輪式の油圧引込脚が装備され、胴体も真円断面構造に変更されている。HWK-109/509C-1を搭載し、航続時間も15分と延長された。MK 108 30mm機関砲2門(弾薬各40発)を装備。試作機が動力飛行テストなどを行ったが、量産には至らなかった。
秋水
Me163 の資料が Me262 の資料とともに日独間の連絡潜水艦便で日本に送られ、これを基に局地戦闘機 秋水(J8M)が開発されたが、試作機の最初の試験飛行時に本機と同じく燃料供給問題が起きて失速、着陸に失敗して不時着大破している。
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