ヘーラクレース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 08:48 UTC 版)
生い立ち
ヘーラクレースはゼウスとアルクメーネー(ペルセウスの孫に当たる)の子。アルクメーネーを見初めたゼウスは、様々に言い寄ったが、アルクメーネーはアムピトリュオーンとの結婚の約束を守り、決してなびかなかった。そこでゼウスはアムピトリュオーンが戦いに出かけて不在のおり、アムピトリュオーンの姿をとって遠征から帰ったように見せかけ、ようやく思いを遂げ、1夜を3倍にして楽しんだ。アルクメーネーは次の日に本当の夫を迎え、神の子ヘーラクレースと人の子イーピクレースの双子の母となった。
アルクメーネーが産気づいたとき、ゼウスは「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言した。それを知ったゼウスの妻ヘーラーは、出産を司る女神エイレイテュイアを遣わして双子の誕生を遅らせ、もう一人のペルセウスの子孫でまだ7か月のエウリュステウスを先に世に出した。こうしてヘーラクレースは誕生以前からヘーラーの憎しみを買うことになった。
ヘーラクレースの誕生後、ゼウスはヘーラクレースに不死の力を与えようとして、眠っているヘーラーの乳を吸わせた。ヘーラクレースが乳を吸う力が強く、痛みに目覚めたヘーラーは赤ん坊を突き放した。このとき飛び散った乳が天の川(galaxyは「乳のサイクル」Milky Wayは「乳の道」)になったという。一説にはアルクメーネーはヘーラーの迫害を恐れて赤ん坊のヘーラクレースを城外の野原に捨てた。ゼウスがアテーナーに命じて、ヘーラーを赤ん坊の捨てられた野原に連れて行くと、アテーナーは赤ん坊を拾い、赤ん坊に母乳を与えるように勧めた。赤ん坊の来歴が知らされていないヘーラーは哀れに思い、母乳を与えた。最後にアテーナーは不死の力を得た赤ん坊をアルクメーネーの元へ返し大切に育てるよう告げる。
これを恨んだヘーラーは密かに二匹の蛇を双子が寝ている揺り籠に放ったが、赤ん坊のヘーラクレースは素手でこれを絞め殺した。
注釈
出典
- ^ シケリアのディオドーロス、4巻15・3。
- ^ アポロドーロス、2巻5・8。
- ^ ストラボーン、7巻8・43。
- ^ “ピロストラトス『エイコネス』2巻25・1”. ToposText. 2022年5月12日閲覧。
- ^ “ツェツェース『キリアデス』2巻304行-306行”. Theoi Project. 2022年5月12日閲覧。
- ^ Seneca, Hercules Furens 235ff.; Seneca, Hercules Oetaeus 1240; Pliny, Nat. Hist. iii.4.
- ^ シケリアのディオドーロス、4巻18・5。
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