パリの生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 23:00 UTC 版)
楽曲
『オペレッタ名曲百科』の著者、永竹由幸は「音楽はどの曲も素晴らしく、メテラの手紙のロンド、ガブリエルの大佐の未亡人の歌やそれに続く、チロレーゼそして《背中が破れています》の六重唱、最後のカンカン・フィナーレなどはいつまでも耳に残る名曲」であるが「これほどの名曲なのに、日本で『こうもり』のようになじみがないのは、あまりにも『パリの生活』がパリに密着した作品で、フランス語圏の劇場でないとあの粋なフランスの味がでないからなのだろうか」と述べている[3]。 アラン・ドゥコーは「5幕を通じて駆け回る狂躁のギャロップ。《メテラの手紙》を除けば『パリの生活』には、オッフェンバックの他の全ての作品が内包するあの優しいメランコリーの慰めが見当たらない。目の回るような音楽が全速力で走り、われわれを急き立て、揺さぶり、息を切らせる。《何でも回れ、誰でも踊れ》この中心テーマが『パリの生活』のモチーフである」と解説している[10]。また、リッサンは2幕のガブリエルによる「大佐の未亡人のアリア」をコミカルな音楽の珠玉の一品として注目し「音楽はまず、非常に堅苦しく規則正しい厳かなリズムで始まる。地味な旋律線は控え目な生活を送ろうとしている女性に相応しい。ところが、この旋律と同時に茶番が透けて見える。それはまず、突飛なヴォカリーズによって表現される笑いである。次にこの旋律はマウスピースを押さえたトランペットによりピアニッシモのニュアンスで演奏されるファンファーレの茶番のリズムとなる。隠された茶番と明確な台詞の真面目さの緊張は必然的に笑いに至る」と分析している[11]。
- ^ 『ラルース世界音楽事典』P1310
- ^ a b c 『オペレッタの幕開け』P135
- ^ a b 『オペレッタ名曲百科』P243
- ^ 『オペレッタの幕開け』P136
- ^ 『オックスフォードオペラ大事典』P118
- ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
- ^ 外国オペラ作品322の日本初演記録
- ^ 『エスプリの音楽』P6
- ^ a b 『オッフェンバック―音楽における笑い』P188
- ^ 『パリのオッフェンバック―オペレッタの王』P186~7
- ^ a b 『オッフェンバック―音楽における笑い』P197~198
- ^ 『パリのオッフェンバック―オペレッタの王』P186
- ^ 『オッフェンバック―音楽における笑い』P176
- ^ オッフェンバック自身もドイツ語訛りを直せず、苦しんでいた。
- ^ オッフェンバック自身もドイツからの飢えた移民であったため、自虐的な内容となっている。
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