パマ・ニュンガン語族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/13 00:53 UTC 版)
パマ・ニュンガン語族 | |
---|---|
Pama-Nyungan languages | |
話される国 | オーストラリアの大部分 |
話者数 | — |
言語系統 |
マクロ・パマ・ニュンガン語族
|
表記体系 | ラテン文字 |
言語コード | |
ISO 639-3 | — |
分類
EvansとMcConvellは、Warlpiri語のように典型的なパマ・ニュンガン諸語は、性(gender)を欠いた従属部標示言語で接辞尾的な言語(suffixing languages)であるが、非パマ・ニュンガンの言語でもTangkic語のようにこの類型に当てはまる言語があり、また、Yanyuwa語のようないくつかのパマ・ニュンガン語族の言語は、主要部標示言語で接頭辞的な言語(prefixing language)であって、複雑な性のシステムをもち、この類型から逸脱していると述べている。
再構築
パマ・ニュンガン祖語は、4万年から6万年前以上前からオーストラリア大陸に定住していたとされるアボリジニが過去5000年の間に使用していた言語である。オーストラリア大陸の大部分に広がり、その土地ごとに詳細不明な先パマ・ニュンガン諸語(Pre-Pama-Nyungan languages)からパマ・ニュンガン語族の言語に置き換わったが、文化や儀式の伝播に並行して一つの集団から他の集団へ言語が広まっていったことが可能性として考えられる。各集団間には同語根とみられる言葉に関連性があり、多くの特徴を共有する語群がパマ・ニュンガン祖語の下位言語に存在すると見られ、古代の文化集団どうしの接触による文化の波が複数回来たことを示している。そのため、多くの言語群では語族の系統樹がつくられるが、パマ・ニュンガン語族には枝分かれ式系統樹は適していないという主張をDixonは強調している。
語彙
Hale(1982)はパマ・ニュンガンの独特な言葉をリストし、パマ・ニュンガン祖語の再構築のためにpronounsとcase ending(格語尾)を提案したが、EvansとMcConvellはそれらのいくつかのルーツは信じがたいとし、それでもO'GardyとTyronは数百の言語群のセットは明らかに存在する根拠がパマ・ニュンガン語族の地域にくまなく存在し、他地域にはないとした。
音韻
以下の表はBarry Alpher(2004)が再構築したパマ・ニュンガン祖語の音韻表である。これらは現在のオーストラリアの言語の音韻に限りなく近い。
母音
前舌母音 | 後舌母音 | |
---|---|---|
狭母音 | i iː | u uː |
広母音 | a aː |
子音
en:Peripheral consonant | 舌端音 | 舌尖音 | |||
---|---|---|---|---|---|
両唇音 | 軟口蓋音 | 後部歯茎音 | 歯茎音 | そり舌音 | |
Plosive | p | k | c, cʸ | t | rt |
鼻音 | m | ng | ñ | n | rn |
側面音 | ʎ | l | rl | ||
R音 | rr | r | |||
半母音 | w | y |
パマ・ニュンガン祖語では舌端音を一式しか持っていなかったとされる:現在のパマ・ニュンガン語族の言語に見られる舌端歯音と舌端歯茎硬口蓋音(または硬口蓋音)は子音変化によるものであると説明される。 それでも、歯音であったと予想される歯茎硬口蓋破裂音が見られる言葉が少数あり、それらは*cʸと書く。しかし鼻音*ñʸや 側面音*ʎʸの証拠となるものは存在しない。
音素配列
- ^ Claire Bowern and Quentin Atkinson (2012) "Computational phylogenetics and the internal structure of Pama-Nyungan", Language 88: 817–845.
- 1 パマ・ニュンガン語族とは
- 2 パマ・ニュンガン語族の概要
- 3 下位分類
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