パサン 生態

パサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/21 20:47 UTC 版)

生態

標高4200メートル以下にある森林の間にある岩場や湿性草原、森林などに生息し、断崖を好む[4][5]。オスは単独、もしくは若いオスのみで群れを形成し、生活する[5]。メスと幼獣によって形成する5-25頭の群れで生活するが、100頭に達する大規模な群れを形成することもある[5]

食性は植物食で、木の枝や葉、などを食べる[5]

繁殖形態は胎生。繁殖期にはオス同士で直立して角を強調して威嚇したり、角を打ちつけ合って争う[5]。冬季に交尾を行い、妊娠期間は150-170日[5]。4-6月に1回に1頭の幼獣を産む[5]。メスは生後3年で初産を迎える個体が多い[5]

人間との関係

和名や英名 Pasang は、イランでの本種を指す呼称に由来する[4]。別名は野生化した家畜ヤギと区別するため、呼称として敬遠されることもある[4][5]

本種(もしくは本種の血を引く種間雑種)が家畜化され、ヤギになったと考えられている[4][5][6]。このため、パサンが生息しない日本やヨーロッパなどで飼育されているヤギは、他地域から家畜としてのヤギが持ち込まれたことによって始まったことが明らかとなっている[6]

角目的や食用の乱獲、家畜ヤギとの競合や交雑などにより生息数は減少している[5]

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ a b c The IUCN Red List of Threatened Species Weinberg, P., Jdeidi, T., Masseti, M., Nader, I., de Smet, K. & Cuzin, F. 2008. Capra aegagrus. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.
  2. ^ a b Takada, T.; et al. (1997), “Bezoar (Capra aegagrus) is a matriarchal candidate for ancestor of domestic goat (Capra hircus): evidence from the mitochondrial DNA diversity”, Biochem Genet. 35 (9–10): 315–26 
  3. ^ a b c d 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社1986年、149頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』、東京動物園協会、1988年、107-108頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社2000年、41、158-159頁。
  6. ^ a b 「古代家畜ヤギのDNA系統を解析 8千年前頃に肥沃な三日月地帯から家畜ヤギが拡散した証拠を示す」名古屋大学プレスリリース、2016年5月30日


「パサン」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「パサン」の関連用語

パサンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



パサンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのパサン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS