バイオフィルム バイオフィルムの構造

バイオフィルム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 00:41 UTC 版)

バイオフィルムの構造

大まかな構造

バイオフィルムの構造の簡略図

基質に付着した細菌が、細胞外多糖(EPS, extracellular polysaccharide)を分泌する。 EPSはバリアーや運搬経路の役割を果たし、環境変化や化学物質から内部の細菌を守る。 そういった作用により、生息密度の高い閉鎖的なコロニーが形成され、恒常性が保たれる。

構造の詳細

栄養状態、温度、光など様々な条件により、規模や形態が異なる。フィルムと名にあるが、多くは立体的な構造を持つ。コロニー内にも環境条件の違いが存在し、種の棲み分けもみられる。ここでは、下図「微生物とそのコロニーの変遷」にある、キノコ型のコロニーを説明する。このコロニーでは、いくつかの孤立したバイオフィルムが密集し、部分的にバイオフィルム同士が融合している。フィルムの下部には、隙間が多く形成され、水や養分を通す経路となる。

バイオフィルムの成り立ち

裸地からコロニーの変遷
微生物とそのコロニーの変遷

基質とバイオフィルムの変遷

この節では、基質からバイオフィルム形成までの大まかな流れを説明する。

  1. 裸の基質
  2. 有機物イオンが付着し、コンディショニングフィルムという膜が出来る。
  3. 細菌が付着し始める。定着と脱離を繰り返しながら、徐々に生息数を増やす。
  4. EPSによるコロニーが形成される。

微生物とそのコロニーの変遷

この節では、微生物とそのコロニーの詳細を説明する。

  1. 細菌付着
  2. EPSを分泌しはじめる
  3. バイオフィルムが形成される
  4. バイオフィルムは厚みを増し、コロニーが巨大化する
  5. 内部が過密になると、コロニーが破壊され、細菌が放出される

細菌が付着と脱離を繰り返しながら、徐々にバイオフィルムが形成される。バイオフィルムのコロニーには、複数種の微生物が生息し、動的平衡を保つ。棲む微生物は、環境により異なるが、細菌類以外の微生物が生息している場合も多い。単一種のみで形成されるコロニーは、自然界には稀である。形成後のバイオフィルムも、常に脱離や溶菌が起こっているため、安定したものではない。バイオフィルムという呼び名は、極相林のような変遷の終着点というより、形成された後に変化する形態すべてを指している。ある程度大きくなると、コロニーが崩壊し、細菌が放出される。

コロニー内での細菌の生活

コロニー内に、細菌が高密度に生息しているため、生活型はコロニー外と異なる。EPSや構造の隙間を利用して物質のやり取りを行う、と考えられている。EPSは、構造の支持体や防護膜として機能するだけではなく、養分の運搬・保持、酵素の伝達など、内部環境の恒常性を保つ役割も担う。また、バイオフィルム内に暮らす細菌は、EPSを通じて情報伝達物質のやり取りを行うと考えられている。こういった作用により、バイオフィルム内の環境は外部と大きく異なる。そのため、バイオフィルムの内部では、細菌の形態が相変異により異なる場合がある。細菌の構成種にも違いがみられる。たとえば、バイオフィルム内の奥部で嫌気性細菌が活動している場合がある。




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