ハリー・ポッターシリーズの魔法一覧 許されざる呪文

ハリー・ポッターシリーズの魔法一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 06:19 UTC 版)

許されざる呪文

「服従の呪文」「磔の呪文」「死の呪い」の3つの呪文を総称して「許されざる呪文」と呼ぶ。これらの呪文は1717年に人間に対して使用することが禁じられており、仮に人間に対して使用した場合、アズカバンで終身刑を受けるに値する。

インペリオ(Imperio / 服従せよ)
「服従の呪文」。対象人物を自分の意のままに操ることができる。ヴォルデモート一派はこの呪文を使って大勢の魔法使いや魔女を操ったが、操られているか否かを見分けるのは難しく、そのため死喰い人のなかには「服従の呪文で操られていた」として魔法省を欺き、罪科から逃れた者もいる(ルシウス・マルフォイなど)。
この呪文を受けると、頭のなかに漠然とした幸福感のみが残り「最高にすばらしい気分」となる。この状態から命令に抗うのは困難であるが、心が強ければ命令に抵抗することができる。第4巻ではハリーやバーテミウス・クラウチ・シニアらが、服従の呪文に抵抗して打ち破る。
クルーシオ(Crucio / 苦しめ)
「磔の呪文」。対象人物に、死の方がましだと思わせるほどの苦痛を与える。ベラトリックス・レストレンジによれば、呪文の効果を長く持続させるためには「苦しめようと本気で思い」、かつ「苦痛を与えることを楽しむ」必要がある。
ネビル・ロングボトムの両親はベラトリックスにこの呪文をかけられ廃人となった。また、ハリーもベラトリックスに対して使用するが、シリウスを殺された憎しみの感情を込めて発動したため、ひっくり返らせるだけに終わる。
アバダ・ケダブラ(Avada Kedavra / 息絶えよ)
「死の呪い」。一瞬で相手の命を奪う呪文で[注 11]、緑色の閃光が特徴。
反対呪文が存在しない絶対の呪文であり、盾の呪文も通用せず防御不可能という特徴がある。この呪文を防ぐ方法は避けるか、命を犠牲にして愛する者を守る「犠牲の印」のみである。また、兄弟杖(杖の芯材に同じ個体のものが使われている杖)を持つ魔法使いに対してはきわめてまれな事象ではあるが、直前呪文の作用が発生して死の呪いが実質的に無効化される場合がある。呪文の行使には強大な魔力が必要となり、未熟な術者が使ってもいっさい効果がない。彫像やデスクなどに命中した場合にも、破壊や炎上といったかたちで損傷を与える。また、杖の所有者にその杖で呪文を唱えたとしても呪文を防ぐことができる。第7巻でヴォルデモートがハリーにニワトコの杖で呪文をかけるが、杖の所有者がハリーだったために通じず、ヴォルデモートの敗因となる。
映画版では武装解除呪文で防ぐことができ、防御不能の特性が失われている。翻訳は「息絶えよ」。

注釈

  1. ^ 第7巻『死の秘宝』で防衛呪文の重ねがけを行うときに、教師たちが呪文を唱える。
  2. ^ 例として後述の「フィニート・インカンターテム(Finito Incantatem、呪文よ終われ)」が原型なのに対して、省略形「フィニート」だけでも同じ効果が得られる。
  3. ^ 鼻呪いとクラゲ足の呪いを同時に使うと身体じゅうにクラゲの足が生える。
  4. ^ 例外もあり、「ロコモーター」という呪文は、第1巻『賢者の石』では足を硬直させる呪い (Leg-Locker Curse) として、第5巻『不死鳥の騎士団』では物を移動させる魔法 (Locomotion Charm) として登場する。
  5. ^ 幻の動物とその生息地』ではレシフォールドという魔法生物への唯一の対抗手段としても紹介されている。
  6. ^ 現実にあったことではない想像でも使用可能で、第5巻ではドローレス・アンブリッジの解任を想像して使用する場面がある。
  7. ^ 作中ではニンファドーラ・トンクス、セブルス・スネイプのふたりが該当。それぞれ、トンクスはおそらくは狼人間(のちに夫となる人狼リーマス・ルーピンの影響)、スネイプは牝鹿(長年の思い人であるリリー・ポッターの守護霊と同じ)になっている。
  8. ^ 魔法使い・魔女にとっての重要な武器として、おもに杖。
  9. ^ ヴォルデモートバーサ・ジョーキンズにかけられた忘却術を破り、聞き出した情報をもとに三大魔法学校対抗試合に罠を仕掛ける。
  10. ^ 第7巻において、グリンゴッツでトロッコから空中に投げ出された際にもハーマイオニーがクッション呪文を使用するが、呪文名は記されていない。映画の同場面では「アレスト・モメンタム」が使用されている。
  11. ^ この呪文で死亡したトム・リドル・シニア一家を検死したマグルの医師団は「毒殺、刺殺、射殺、絞殺、窒息の跡もなく、死亡していること以外は、健康な状態と全く変わらない」と報告した。医師団は、(死体に何とか異常を見つけようと決意したように)「それぞれの顔には恐怖の表情が見られた」と記している。
  12. ^ 原書では「Destination,Determination,Deliberation」。
  13. ^ 術を行使した際、身体の一部がその場に残ること。原書では「splinch」と表記されるが、これは作者ローリングの造語である。
  14. ^ 守人本人が書いた手紙でもよい。
  15. ^ 第6巻でスネイプはベラトリックスに対し、自分は不死鳥の騎士団の本部の場所を知っているが、自分は守人ではないため教えられないと話す。
  16. ^ 不死鳥の騎士団本部の守人だったダンブルドアの死後は、本部の場所を打ち明けられていた団員全員が守人になる。しかし「守人は20人ほど居るから、『忠誠の術』も相当弱まっている」とアーサーが語る。第7巻前半ではハーマイオニーがヤックスリーを連れたまま騎士団本部に姿現しを行ない、秘密を明かすかたちとなる。
  17. ^ 魔法界では17歳以上を成人としている。
  18. ^ 第2巻でドビーが使った浮遊術がハリーの仕業とされ、ハリー宛に魔法不適正使用取締局からの警告文が届く。また、第7巻において「臭い」をつけているという理由から、ムーディらはハリーを付き添い姿くらましさせることを回避する。
  19. ^ 原書では「Furnunculus curse」となっているので「ファーナンキュラス、鼻呪い」のこと。
  20. ^ 以下は『クィディッチ今昔』の15ページからの引用[11]
    人の姿のままで、なんの助けも借りずに飛ぶことを可能にするような呪文は、いまだに考案されてはいない。

    羽のある動物に変身できる数少ない「動物もどき(アニメーガス)」は、飛ぶことができるが、これはごく稀な例である。コウモリに変身した魔女や魔法使いは、空中に舞い上がることができるが、なにしろコウモリの脳みそでは、飛び上がった瞬間、どこに行くつもりだったか忘れてしまうに違いない。

    浮上術はごく普通に行われるが、我々の祖先は、たかだか地上1.5メートルに浮かんでいるだけでは満足できなかった。もっと何かしたかった。羽を生やすという手間なしに、鳥のように飛びたかった[11]
  21. ^ 原書では「Gemino and Flagrante Curses」だが、邦訳は「『双子の呪文』と『燃焼の呪い』」となっている。
  22. ^ 第5巻第28章で、この呪文が命中したジェームズ・ポッターの頬がぱっくりと割れる。
  23. ^ 第7巻第5章で、この呪文が命中したジョージ・ウィーズリーは左耳を失う。
  24. ^ 第1巻第16章で、「スネイプにしかけたのと同じリンドウ色の炎が植物めがけて噴射した」という記述がある。

出典

  1. ^ クリストファー・ベルトン『「ハリー・ポッター」が英語で楽しく読める本』コスモピア、2006年、239頁。
  2. ^ J・K・ローリング公式HP(日本語版)そのほかのこと>その他>呪文の定義
  3. ^ J・K・ローリング公式HP(英語テキスト版)あ Stuff>Miscellaneous>Spell Definitions
  4. ^ 第5巻第28章「スネイプの最悪の記憶」。
  5. ^ 第5巻第33章「闘争と逃走」。
  6. ^ 第4巻第9章「恐怖の敗北」。
  7. ^ 第5巻第3章。
  8. ^ Eleanor Bley Griffiths (2018年3月15日). “JK Rowling reveals the curse on Defence Against the Dark Arts teachers in Harry Potter was inspired by Spinal Tap”. Radio Times. 2020年9月14日閲覧。
  9. ^ 2010: "J.K. Rowling at the White House Easter Egg Roll"”. Accio Quote. 2020年9月14日閲覧。 “"(...) because the job was cursed, as you know."”
  10. ^ Kara Hedash (2020年1月25日). “Harry Potter: How Voldemort Cursed The Defense Against The Dark Arts Position”. ScreenRant英語版. 2020年9月14日閲覧。
  11. ^ a b c ローリング 2001, p. 15.
  12. ^ Ashley Ross (2014年12月17日). “J.K. Rowling Debunks Severus Snape Rumor”. Time. 2020年9月14日閲覧。





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